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現代の社会は「とっても便利だ」と、昔を知らない私でも思う。
欲しい物は全てお店に行けば買える。いや、もはやお店に行かなくても、家に届く。
それでも日々、世界は進化を続け、私が小学生の時には当たり前だった “ガラケー” が、今や絶滅危惧種となった。
たまに、今でも十分便利すぎるこの世界が、さらに便利な方向に進んでいくことに、私は不安を覚える。
当時、使い勝手が悪いなんて一度も思っていなかった私も、iPhoneに使い慣れれば、ガラケーに戻したいだなんて思わない。
便利な世界は、効率的な世界だと私は思う。
ネットをググれば、自由に自分の欲しい情報が手に入る世界は、効率的だ。自分の手元で、欲しいものがいつでもどこでも購入できる世界は、効率的だ。どこにいても、世界中の誰とでも簡単に繋がれる世界は、効率的だ。
効率的な世界は、自分にとって重要そうではない情報を遠ざける。
仕事で必要な情報は頭に叩き込まなくてはいけないけれど、食卓に並ぶ食材を、どこで誰がどんな想いで作っているかは、知らなくても問題ない。普段着ている洋服がどんな人たちの手を渡って自分の元に届くかは、知らなくても問題ない。
知らなくても問題ない、重要そうでない情報よりも、仕事で、デートで、テストで、“使えそうな” 情報を習得した方がいい? 本当にそうだろうか。
この世界は、アナタが気づいている以上に、私が気づいている以上に、「素敵なもの」で溢れている。
それは、今日アナタの食卓に並んだ食材たち、かもしれないし、今アナタが着ている洋服たち、かもしれない。
これからアナタが出会うであろう人たち、かもしれないし、これまでアナタが培ってきた経験たち、かもしれない。
アナタが今生きている、当たり前の世界にある物事に光を当ててみたら、背景を辿ってみたら、そこには思いもしない「驚き」や「発見」、「出会い」が待っている、かもしれない。
導入が少し長くなってしまいましたが、、、
私は、LOCAL LETTER を立ち上げてからの4年半の間で、本当に有難いことに、本人にとっても思いもよらない、驚きや発見、出会いを通じて、今までの考えや行動、生き方を変えていく人たちを、多々見てきました。
LOCAL LETTER を立ち上げた当初は、右も左も全くわからず、まさか、そんな光景を目にすることができるだなんて思ってもみず。右往左往していた自分しか記憶にありません・・・。笑
ですが、今振り返ると、多くの変化をとても間近で目にしてきたと共に、一番変化をしたのは、私だと感じています。
今日は、そんな私が、LOCAL LETTER の編集長になったご報告と、これまでの歩みを綴れたらと、ドキドキしながら文字を書き進めています。
もしよろしければ、お付き合いください。
新卒で今の会社( LOCALLETTER を運営する株式会社 WHERE )に入るとき、社員は、社長を入れて、たった2人でした。
「安定」「安心」「枠組み」「正解」が好きなわたしにとって、この決断は後にも先にも、最も大きい決断だったと思います。
WHERE に関わり始めたのは大学3年生のとき。インターンシップ、という形で LOCAL LETTER の立ち上げを担当しました。
大学で学んでいたのは、法律。中学生の時から人生テーマは、ジェンダー平等。
全くの畑違いに見えますが、当時から「メディア」という分野に興味がありました。
法律もそうですが、結局、人は「知っている」範囲でしか判断・行動ができない。どんな法律があるか、誰に相談すればいいのか、どこに行けば会えるのか、知らなくては何もできないことに、驚きました。
人は、自分の「当たり前」の中でしか生きられない生き物だと、この「当たり前」を壊して、当たり前の外に目を向けようとしなければ、どんなに良い制度があったって、意味がないんだなあ。と、当時今よりも若かった大学生の私は、ぼんやりと、でも確かに、思ってました。
だからこそ、不特定多数の人に情報が届けられる「メディア」という存在は、当たり前を壊す、最初のきっかけとしては最高のツールだと、今でも思っています。
LOCAL LETTER の立ち上げに関わりたいと思ったのは、代表の一言があったから。
「ネットとリアルを繋げるメディアをつくりたい」。
メディアは、届ける人と受け取る人の顔が直接見えないことが多い。だからこそ、不確かな情報や誹謗中傷が出回ることも多く、それによって混乱する人や、傷つく人がいることに、私の心がすり減っていた時でした。
優しいメッセージも、ちょっと厳しいメッセージも、直接目の前の相手に投げかけるような、相手のためになるように愛を込めた、温度感のあるメディアをつくりたい。
ネットの情報を通じて相手を知り、リアルで関係性が構築されるようなプラットフォームをつくりたい。
今、代表の一言を言語化するのであれば、こんなところでしょうか。
当時からここまで意味を咀嚼できていたわけでは全くないのですが、そんなメディアがつくれるなら、私もつくりたい!と、ほぼ直感的に「安定」「安心」「枠組み」「正解」が一つもない世界に、迷いゼロで、気づいたら、飛び込んでました。
立ち上げ当初は、今以上に文章が書けませんでした。大変でした。そもそも、取材も初めてで、何を聞いたらいいのやら。やっぱり、大変でした。
そんな中でも取材を快く引き受けてくださる皆さんには、感謝しても仕切れません。
取材を通じて、いろんな方にお会いする中で、少しずつ気づいたこともありました。
「え、こんなに凄い人でも悩むのか」「そんな葛藤があったのか」「当たり前にスーパーで買っていた魚って、こうやって獲られているのか」「あれ、こないだ取材した方と全然違う業種の方なのに、同じこと言ってるぞ?」
そして、私自身がWHEREのメンバーとして、LOCAL LETTER 以外の地域プロデュースの仕事をすることで、取材に変化が生まれました。
「うわあ、その葛藤わかるなあ。どうやって乗り越えたんだろう?」「この事業、ここが凄い!他にはない部分だから絶対取り上げたい!」「私はこんな壁に直面したけど、この方はどうだったんだろう?」
地域の最前線で葛藤する皆さんに、本当に多くのことを教えていただき、私は読者の皆さんと一緒に、その教えを学んでいった感覚です。
LOCAL LETTER は人脈とノウハウを繋げるプラットフォームとして、「リアルを伝える」ことを大切にしています。
楽しいことも、嬉しいことも、喜ばしいことも、もちろんですが、それ以上に、苦しいことも、悲しいことも、辛いこともあるのが、人生なのだ、と。私は(お恥ずかしながら)この4年半で多くの方に気づかせてもらいました。
だからこそ、キラキラとした綺麗な部分だけでなく、生々しい葛藤も伝えることが、同じように葛藤している人たちの勇気になったり、知見になったりする。それが、ネットとリアルを繋げるメディアとしての役割だと思っています。
そして、もうひとつだけ私が大切にしていることをお伝えすると、取材対象者の「無邪気な好き」が伝わるように、記事をつくっています。
実は、LOCAL LETTER で取材を始めた当初、もうひとつ私が思っていたことが、「大の大人が、小さな子どもみたいに、自分の好きで行動していいの!?」でした。笑
LOCAL LETTER で取材をする大人たちは、話をしなくてもわかるほど、体中から「好き」が溢れていて、驚きました。
自分が好きだから、やりたいからやっている。誰に言われたわけでも、強制されたわけでもない。大変だし、辛いことの方がもしかしたら多いかもしれないけれど、それでも好きだから、目指している未来を見たいから、やっている。
そんな大人たち、ばかりでした。
私にとっては、この彼らの「好き」がわかる瞬間が、雲の上の存在だと思っていたすごい取材相手たちが、一気に “人間らしさを帯びる瞬間” だと思っています。
だからこそ決して、LOCAL LETTER で取材をしている人たちは、「人間離れした凄い人」ではなく、「自分の少し先を行く同じ人間」として、LOCAL LETTER を通じて知った人や物事が、アナタの考えや行動、生き方をより良い方向に変えていくきっかけになれば、この上なく嬉しいです。
ドキドキです。いや、ドキドキドキドキドキドキドキドキです。笑
昔から「肩書き」に全く興味のない人間でした。
学級委員長でなくても、言うべきことは言うし、やるべきことはやる。学生だろうが、社会人と同じ扱いをしてほしい!そんなヤツでした。
どんな肩書きを持っていても、やった方がいいなと思うことは、やった方がいいし、こうしてほしいと思ったことは、こうしてほしいと伝えてみる。
本当に有難いことに、素敵な方に恵まれて、このスタイルで生きにくさを感じたことはありませんでした。
でも、肩書きを持つかどうかって、やっぱり違いますね。今になって思います。責任が全然違う。伸し掛かってくる重さが、全然違います。きっと、周りからの見られ方も変わりますよね。
だから、想像以上に緊張しています。(私、取材前には毎回トイレに駆け込むほどの緊張しいなんです。笑)
でも、LOCAL LETTER が、大好きです。
LOCAL LETTER を読んでくれる皆さんが、大好きです。LOCAL LETTER の取材先で出会う皆さんが、大好きです。LOCAL LETTER を通じて、伝えられる文章が、大好きです。LOCAL LETTER で生まれる繋がりが、大好きです。
だからこそ、当たり前を壊す、最初のきっかけとしてもっともっと多くの人に LOCAL LETTER を届けたい。尽力したい。
だからこそ、この度、編集長になることを決めました。まだまだ不甲斐ない部分もあるかと思います。でも一生懸命学びます。
ぜひ、これからも、LOCAL LETTER をひとつのツールとしてご活用いただけたら幸いです。
Editor's Note
ここまで自分自身のことを LOCAL LETTER で書くのは初めてなので、「本当にこれでいいのか?」と何度も自問自答を繰り返しながら、書き上げました。思いが溢れすぎないよう、削って削って書いたつもりが、思っていた以上に長文になり、今さら「独りよがりの記事になっていないか」と、猛烈に心配しています。でも、まだまだ荒削りだけど、いま感じていることを言葉にしたら、等身大の私が書けたのではないかと思い、これ以上削ることはせずに、全文を載せました。
これからも引き続き、何卒よろしくお願いいたします!
NANA TAKAYAMA
高山 奈々