イベント概要
Glocal creative summit
日時:2018年1月13日(土)15:00 ~ 19:30
会場:ダイアゴナルラントウキョウ
主催:福岡移住計画
登壇者プロフィール
<第一セッション>
ビジネスとして地方でやるメリットと世界を視野にいれた今後の展望について
Forbes JAPAN 編集次長 兼 WEB編集長 九法 崇雄氏
1979年、鹿児島県生まれ。一橋大学商学部卒業後、NTTコミュニケーションズを経て、2004年プレジデント社入社。14年、PRESIDENT副編集長就任。同誌にてジャーナリスト田原総一朗氏が若手起業家に切り込む「次代への遺言」、地方の優れた企業を紹介する「発掘!中小企業の星」などの連載を立ち上げる。17年、アトミックスメディア入社。同年12月より現職。2017年06月号では、全国で活躍するイノベーターたちを取り上げた特集「日本を元気にする88人」を企画した。
面白法人カヤック 代表取締役CEO 柳澤 大輔氏
1998年、学生時代の友人と面白法人カヤックを設立。2014年12月東証マザーズ上場(鎌倉唯一の上場企業)。鎌倉に本社を置き、Webサービス、アプリ、ソーシャルゲームなどオリジナリティあるコンテンツを数多く発信する。100以上のWebサービスのクリエイティブディレクターをつとめる傍ら、Yahoo!JAPANインターネットクリエイティブアワードなどWeb広告賞で審査員歴を持つ。ユニークな人事制度やワークスタイルを発信し、新しい会社のスタイルに挑戦中。2015年株式会社TOWの社外取締役、2016年に株式会社クックパッドの社外取締役就任。
株式会社ヌーラボ 橋本 正徳氏
1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し、飲食業に携わる。劇団主催や、クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年、福岡に戻り、父親の家業である建築業に携わる。2001年、プログラマーに転身。2004年、福岡にて株式会社ヌーラボを設立し、代表取締役に就任。現在、福岡、東京、京都、シンガポール、ニューヨークに拠点を持ち、世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。
鎌倉市役所 経営企画部長 比留間 彰氏
84年4月鎌倉市役所入庁。都市計画、古都保存行政、公共建築の設計業務を担当し、98年から2年間横浜市役所都市デザイン室に派遣。横浜ベイスターズの活躍を横目に歴史的建造物の保存・山手地区のまちづくりに携わる。その後、鎌倉市役所に戻り、景観行政、広報担当を経て現在に至る。
福岡市役所 経済観光局 企業誘致課係長 山下 龍二郎氏
高校までを福岡で過ごし、関西の大学へ進学。大学卒業後は、富士フイルム株式会社入社、国内外イメージング事業のマーケティングを担当。32歳で福岡市役所にUターン転職し、交通局、環境局、広報戦略室を経て、2012年より現職。企業誘致を担当し、主にIT・デジタルコンテンツなどのクリエイティブ企業や、コールセンター企業の福岡市への進出を支援する。このほか、クリエイティブ人材に特化したUIターン移住転職プロジェクト「福岡クリエイティブキャンプ」を担当。
<第二セッション>
さらなる飛躍をするための課題や地方のITクリエイティブ業界に必要なこと
・株式会社PR Table 取締役/共同創業者 菅原 弘暁氏
・元株式会社ラナエクストラクティブ 太田 伸志氏
・株式会社プラスディー 本田 晋一郎氏
・株式会社Gear8 山田 瑞希氏
・仙台市役所 経済局産業振興課長 白岩 靖史氏
・日南市役所 日南市マーケティング専門官 田鹿 倫基氏
・札幌市役所 経済観光局IT・クリエイティブ産業担当課 高橋 宗太郎氏
・札幌市役所 経済観光局立地促進・ものづくり産業課 北舘 絢子氏
九法さん
まずは簡単に事業の紹介をお願いします。
柳澤さん
面白法人カヤックは、僕が大学時代の友人らと立ち上げた鎌倉に本社を置く会社です。去年800万回ほど再生され、話題になった「あるある小学生」という動画があるのですが、ご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?
私たちは主に「おもしろ広告」を作っていて、会社そのものが面白くなければ面白いものは作れないということで、「会社を遊ぼう」というコンセプトのもと、他にも日々いろんなサービスを生み出しています。
橋本さん
株式会社ヌーラボのコンセプトは「チームで働くすべての人に」です。私たちはこのコンセプトを元に、チーム内のコラボレーションを促進させ、仕事が楽しくなるようなサービスを開発しています。私たちは、世界にもいくつか拠点を持っていまして、今後はこの海外拠点も増やしていこうと思っています。
九法さん
ありがとうございます。まず、面白法人カヤックは「鎌倉」、株式会社ヌーラボは「福岡」に会社の本拠地を置いていると思うのですが、なぜこの本拠地を選ばれたのでしょうか?
柳澤さん
そもそも「起業家」には、原体験のある人とない人がいますよね。原体験のある人は、若い時に何か衝撃を受けて「これで世界を変えたい!」と思った人。こういう人は、何かトラブルがあっても圧倒的な原体験があるので、乗り越えることができます。一方、原体験のない人は、何かトラブルがあったら、理念、哲学、ビジョンを元に乗り越えていくことができます。
僕は原体験がない人で、特に地元を大切にしているわけではありません。面白法人カヤックを立ち上げた時、僕たちは「幸せになるために会社を作っている」ので、「何を」「誰と」「どこで」するかは大事になるなと思い、歩いていける距離に海や山、お寺がある鎌倉を選びました。
九法さん
鎌倉市役所にお勤めの比留間さんが考える行政としての鎌倉の魅力はありますか?
比留間さん
やっぱり自然があることと、古い町並みの中に若々しい魅力が詰まっていることだと思います。ご家族や若い方も多く移住されています。
九法さん
住むメリットとは違う企業が鎌倉に本拠地を置くメリットは何かあったりすると思いますか?
柳澤さん
基本無いと思います。(笑)経済合理性はかなり低いんですが、ビジネス上のメリットでいうと「鎌倉」というブランドがメリットだと思います。
九法さん
行政としての視点で、企業が鎌倉に本拠地を置くメリットは何かあると思いますか?
比留間さん
最近、鎌倉でも人口が減りだしてきています。今までは、人口の流出より、流入の方が多かったのですが、だんだんと流出と流入の数が同じくらいになってきているんです。どこの地域でもあると思うのですが、やはりライフイベントのタイミングで外に出ていってしまう方が多いんですよね。なので、その点で企業が入ってきてくれることはもの大きなメリットだと思います。
九法さん
株式会社ヌーラボの橋本さんはご出身が福岡で、会社の本拠地も福岡ですが、東京で起業しようと思ったことはなかったのですか?
橋本さん
東京で起業したいという思いも少しはありましたが、福岡には故郷ならではの愛着はありますね。2,3ヶ月に1回くらいのペースで東京にも行っています。
九法さん
福岡市役所にお勤めの山下さんは、行政という立場から福岡を見てどう思われますか?
山下さん
福岡では「スタートアップ都市宣言」というムーブメントができていて、皆さんもご存知の通り、日本全体では人口減少が進んでいますが、福岡市は1%弱ずつ人口が増えてきているんです。その中でも、若い人が特に増えているので、町としても成長過程で、これからの発展がとても楽しみな町です。
人口が増えている要因として、そもそも福岡で起業したいという方が多いことと、優秀な若い人材を採用したいという企業が増えていることで、優秀な人材が福岡に増えていくという好循環が生まれているからだと行政では考えています。
(後編に続く)
地方にオフィスを構えることで、地方側では、優秀な人材やライフイベントを迎えた人材の流出が止まり、企業側では、豊かな自然の中で、仕事の生産性を上げるだけでなく、地方にいる優秀な人材を確保することができることがわかりました。
次回の第二セッションでは、「さらなる飛躍をするための課題や地方のITクリエイティブ業界に必要なこと」についてお伝えします。
KOHEI TAKENOUCHI
竹之内 康平