OKINAWA
沖縄
※本レポートは2024年7月31日に行われたイベント「【ローカルSNSメディア講座 特別公開講義②】これからのメディア・情報発信の在り方」を記事にしています。
「伝えた」から 「伝わる」発信へ。
「誰もが心に豊かさを持つ世界を」をビジョンに掲げる株式会社WHEREが企画する、「ローカルSNSメディア講座」。地域の魅力の発見・編集・発信を通じて、どこでも通用するSNSメディア力を高める超実践型の講座です。
市場分析からコンセプトメイキング、コンテンツ制作、効果測定と改善まで、講義でインプットしたものを自らの手で実践します。現在、第1期生となる受講生を募集中です。(ローカルSNSメディア講座 詳細はこちら)
第2回目となる特別公開講義ではフィリピンのセブ島と石垣島を拠点に地域の魅力を発信し続けている佐藤ひろこさんに、人とローカルをつなぎながら、自分も豊かになる情報発信の秘訣を伺いました。
平林 和樹(モデレーター、株式会社WHERE):これからの情報発信の在り方について、佐藤ひろこさんにお話を伺っていきたいと思います。自己紹介いただいてもよろしいでしょうか。
佐藤 ひろこ 氏(以下、敬称略):はい。私はこれまでフィリピンのセブ島を基盤に、総合メディア「セブポット」の運営と、海外移住のサポート事業などを行ってきました。
フィリピンには20年ほど住んでいたのですが、コロナを機に日本に帰国し、現在は取締役を務める「株式会社カヤックゼロ」の拠点がある石垣島とセブ島を行き来する2拠点生活を送っています。
フィリピンに長く縁がある人生を送っていますが、学生のころから色々な場所に行っては日本に戻り、また別の場所に行くという生活を繰り返していました。
平林:フィリピンでメディア事業を始められたきっかけを教えていただけますか?
佐藤:もともと「海外に住んで、いつかは起業したい」という気持ちがずっとあって。そのために始めはセブ島でリラクゼーションスパの事業マネジメントを3年ほどやっていたのですが、心のどこかで「スパ業はやりきったな」という思いが出てきました。
では何で起業しようかと考えたときに「自分の人生が豊かになるような仕事」としてメディアが浮かびました。
情報を扱う仕事なら、今まで出会ったことない人に出会えたり、自分が今まで関わったことない人にアプローチができたりするのではないかと。
私がフィリピンに来たばかりのころ、フィリピンというと「夜の街」のイメージが強かったんです。女性の私が一人でフィリピンに行くことについて、周りは「どうしてフィリピンなの?」という反応でした。
でも実際に住んでみると親日国で女性の社会進出も進んでいる。人も自然も豊かで素晴らしい。こんな魅力を他に誰が知ってるんだろうと感じました。
女性であり、かつ当時20代だった私の目線で伝えることで、例えば女子旅であったり家族で来たりといった「これまでと違う視点」でセブ島の良さをを知ってもらえるのではと思ったんです。
あとは、やはり情報業にとっては、 好奇心旺盛にどんどん「あれも伝えたい」「こういうのもいいな」と思えたほうがいいと思います。私が渡比した2007年ごろは、まだ日本人の若者がセブ島には少なかったこともあって、知られていないことや私が伝えたいことがたくさんあった。「この分野なら勝負できるかもしれない」と感じたことも大きかったですね。
平林:多くの方が気になるポイントなのではと思うのですが、メディアにおいて「影響力」というものは非常に大事な要素だと思っています。でも僕がウェブメディアを始めたころと今では、影響力の意味が異なってきていると感じていて。
僕がメディアを始めたころは「コンテンツがどれだけ読者に見られるか」が全てという世界観でした。しかし今では読者の見る目も肥えて、情報の嘘を見抜く力が鋭くなっていると感じます。より本物の情報が求められるようになったと言えます。
「リアルな内容を伝えて読者の行動を促すこと」が今の影響力の本質なのではと思うんですね。
佐藤さんは20年間この業界で活躍されてきましたが、この影響力の変遷についてはどのように感じていますか。
佐藤 :私は、紙媒体のメディアもウェブメディアでの発信も両方経験してきているのですが、いつの時代であっても情報の奥にある書き手側の「熱量」や「思い」というものは読者に必ず伝わります。
昔は世の中に出回っている情報自体が少なかったので、メディアが情報を出すだけで価値がありました。現在もニッチな分野であれば同じような発信が可能かもしれませんが、やはり本物の情報を届けることが肝心だと思いますね。
今ではとくに、情報をコピーできる時代です。情報をまとめたサイトや、動画でも真似できるものがたくさんあります。真似すること自体は悪いことではありませんが、単にコピーして売れているだけだと今の時代では絶対にファンはつきません。
私も運営する「セブポット」を有名にしたいと思って発信していた時期があるのですが、そういった気持ちって読者に透けて見えてしまうんです。
佐藤 :コンテンツを通して読者に何を伝えたくて、情報をどう切り取っていくのか。読者は毎日たくさんの情報に触れているので、画像や文章のテクニックだけでなくその裏に隠れている思いが伝わることが重要です。
技術は後からでも身につけられますが、「何のために自分の時間を使ってやっているのか」という目的をブレずに持つことが大切だと思います。
平林:まさにその通りですね。LOCAL LETTERも愚直に地域や人に向き合ってやってきたからこそ、イベントを開催した際に多くの人が集まってくださるのかなと感じます。これまで僕たちがやってきたことを、見てくださってる読者がちゃんといるんですよね。
佐藤 :どんどん新しいメディアが作られていく時代だからこそ、そういった本質の部分にファンが生まれるのかなと思いますね。
平林:昨今のメディアの一つの特徴として、広告収入だけではない様々な形の収益方法が広がってきている点が挙げられると思います。
また、情報が無料で消費される速度も非常に速くなっていますよね。その中で、自分の伝えたいことをしっかり伝えながらマネタイズを進めていくには、これからのメディアはどのように考えていくべきでしょうか。
佐藤:メディアを立ち上げた当初から、マネタイズについては考えていました。当時のフィリピンでスポンサーをつけるなら、夜の街についての広告がもっとも取りやすかった。でも、それは私のポリシーとは反するので一切お断りしていました。
歓楽街についての情報がダメということではなく、私がメディアとして発信したい情報とは異なっていたということです。なので立ち上げてから1年くらいは、本当に収益化が苦しかったんですが、広告もすごく頑張って選んでいました。
平林:徹底されていたんですね。僕も媒体を始めたばかりのときは「コンテンツを作るって、こんなにお金がかかるんだ」とおどろいて。毎月資金もどんどん減っていくので、いわゆる「バズリ」を狙いにいった方がいいのではと迷ったときもありました。
佐藤:マネタイズがついてこないと、発信する側が疲弊してしまいますよね。その点で言うとコンテンツの内容とは別に、何を目的にメディアをやるのかを決めておくことも重要だと思います。ビジネスとして行うのか、自分のブランド力を上げたいのか。
ビジネスならば、将来的に人を雇った方がいい場合もあります。あらかじめ収益化まで見据えていれば、コンテンツへのアプローチ方法も変わってきます。伝える内容を収益に合わせて妥協するという意味ではなく、マネタイズも意識したコンテンツを考えられるようになります。
発信する内容を深めていくためにも、お金のことも含めて最初にビジョンを描いておくことは大事だと思いますね。
平林:最後に今回の講座のテーマである「ローカルでどう自分たちの魅力を発信するか」という点について、改めてお伺いします。
自分の情報発信のやり方に本当に効果があるのか迷っている方や、イベントを開催しても期待ほど参加者が少ないといった悩みを抱えている方々も多いと思います。テクニック論に留まらない、これからの活動のヒントになるようなアドバイスをください。
佐藤:情報発信を続けていく上で、くじけそうになることは多々あると思います。もちろん皆さん「地域のために」という思いがあって活動されていると思うんですけど、それだけではなく「メディアを作ることで自分の人生が豊かになる」と思ってやっているはずだと思うんです。
今はうまくいっていなくても、メディアを通じて得られる人とのつながりや、知識の広がり、感謝の言葉など、メディアをやってきたことで自分の人生が豊かになったと感じられる瞬間があります。
会いたかった人に会えたり、「メディアをやっています」というだけで新たな人と気軽に会えるようになったり。強いコンテンツを持っていることで強力な名刺や武器を持っているかのような自信がついたりします。そういったメディアをやっているからこその醍醐味をぜひ感じてほしいです。
私も最初からメディア業を選んだわけではありませんでしたが、今では本当にこの仕事を選んでよかったと思っています。情報発信を通じて多くの人と出会い、人生が広がり幸せになりました。
皆さんも、メディアを作ることでご自身の人生が豊かになるように取り組んでいただければ、辛い時も乗り越えられると思います。
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Information
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https://localletter.jp/articles/sns_academy/
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Editor's Note
情報があふれる時代だからこそ、画面の向こうからでも「作り手の温度感」が伝わるメディア発信を自分もしていきたいと思いました。
ASAHI KAMOSHIDA
鴨志田あさひ