GUNMA
群馬
「まちおこしって難しそう」
「地域のために何かしたいけど、何から始めればいいかわからない」
地域の課題に目を向け、何かアクションを起こしたいと思っても、どこから手をつけていいのか分からない。そんな悩みを抱える人は少なくないはずです。
群馬県伊勢崎市の「まちなか地域おこし協力隊」では、地域活性化に取り組む協力隊員を募集しています。今回、このプロジェクトに関わる3名に、かれらが感じる課題や取り組みについてお話を伺いました。
群馬県伊勢崎市は群馬県の南東部に位置し、利根川や広瀬川が流れる豊かな自然と首都圏へのアクセスの良さを併せ持つまちです。
約20万人の人口を抱える群馬県では4番目に大きな自治体ですが、少子高齢化などの影響を受けて「まちなか(伊勢崎駅・新伊勢崎駅周辺)」とよばれる中心市街地では空洞化が進んでいます。
今回募集が開始された「まちなか地域おこし協力隊」では、この「まちなか」の活性化に取り組みます。
「まちなか地域おこし協力隊」の大きな特徴は、自治体が協力隊員に業務を委託する個人事業主型の採用を行っていることです。
自治体と雇用関係がないため、協力隊員がそれぞれ別に副業をしたり比較的自由に自分の時間を使うことができます。
「伊勢崎市に地域おこし協力隊を導入する前に、群馬県内の協力隊員の方々にヒアリングを行ったんです。伊勢崎市の将来像を考えると、自由度が高く活動しやすい委託型が適しているのでは、という結論になりました」(齋藤さん)
協力隊と自治体が雇用関係となり、役所の中に協力隊員の席を設ける場合、活動とは直接関係のない役所内の業務をどうしても担うことになってしまうといった事例は度々耳にします。「それでは協力隊本来の役割を十分に果たせないのでは」という懸念から、あえて役場とは一定の距離を保つことで、協力隊員が独立して活動できると踏んだのです。
「基本的には月120時間という協力隊としての勤務枠だけを設定し、それ以外の働き方は自由にしていただいています。隊員の方の日報読んでいると、1日に10時間働く日もあれば、2時間しか働かない日もあり、活動の時間配分は個々の判断に任せていますね」(高橋さん)
伊勢崎市の地域おこし協力隊の募集は今期で2期目。隊員一人ひとりに裁量権のあるこの仕組みを活かし、現在活動中の隊員の中には、持っていた資格を活かして副業をしながら地域活動をされている方もいます。
協力隊員の任期は最長で3年間。そんな協力隊員とまちをつないでいるのが支援事業者の秋山麻紀さんです。協力隊の発足1年目となった昨年、秋山さんが特に注力したことが協力隊員と地元の人をつなぐことです。
「1年目は、徹底的に市のステークホルダーの方々と協力隊員に顔を合わせてもらうところから始めました。伊勢崎市で活躍する起業家の方、自治会の方、あらゆるジャンルの人に会っていきましたね」(秋山さん)
協力隊制度自体が市として初めて導入されたこともあり、協力隊員が「ボランティア」や「市の職員」と誤解されてしまう場面もあったそうです。
「誤解を解くためには対話も重要ですが、それだけでは十分とは言えません。地域の方々と一緒に何かを共同で進めていく中で、『地域おこし協力隊とはこういう存在なのだ』と結果的に理解していただくのが正解だと思っています。
そのためには協力隊には地域と協力し合いながら、まちを盛り上げる仕掛けを作り上げていくことをぜひ目指してほしい。1期生の2人は、そのチャレンジに積極的に取り組んでくださっていると感じています」(秋山さん)
1年を彩るたくさんの「まちなかイベント」は伊勢崎市の魅力の1つです。
伊勢崎市まちなか地域おこし協力隊に赴任した場合には、秋山さんにサポートしてもらいながらイベントの開催に携わることになります。
伊勢崎市では催し物に関して、地域おこし協力隊の「道しるべ」のように考えているそう。
「1期目の協力隊員は完全なフリーミッション制にしたのですが、『自由に何でもやってください』だけでは、どこから手を付ければいいかが分かりづらかったと思っていて。そこで今回募集する隊員の活動に関しては、1期と同様に個人事業主型を採用しつつも『まちなか』の活動という一定の制約を設けることにしました。
具体的には、まちなかで活動している事業者の支援や、市が主催するイベントへの協力を中心に活動を進めていく方針です」(齋藤さん)
「まちのイベントをサポートすることから1年目は始めて、手をつけやすい範囲で活動を展開していけるようにしています。
その後、まち全体の様子や活動に慣れてきた2年目以降の段階で、自分たちの軸となる活動を見つけて進めていくような流れにできればと考えています」(齋藤さん)
まちなかで行われているイベントは、まちを盛り上げるためだけでなく、協力隊員たちが「まち」を知るためのロードマップとしても活用されていることが特徴的です。とはいえ、イベントはあくまでかれらの「道しるべ」。進んだ先で、新しい道が見えてくるかもしれません。
「市が主催するイベントのサポートや活用といった業務は仕様書に記載されていますが、正直なところ、そうした点を特に意識して活動しているわけではありません。
実際の活動の中で、隊員それぞれに色々な話が持ちかけられたり、自分自身がやりたいことが出てきたりするので、あまりイベントだけに縛られず、自由に取り組んでいただければと考えています」(齋藤さん)
実際に隊員の中には、イベントだけでなく、まちの居場所作りに取り組む方もいます。例えば、2024年8月5日(月)よりスタートした「伊勢崎まちなかユースセンター」も隊員が主体となって生まれた取り組みの1つです。
伊勢崎駅近くの商店街に増えつつある空き店舗の活用と、若者が安心できる居場所づくりを目的に試験的に開業しました。
今回の地域おこし協力隊で募集するのは、「小さなチャレンジができる人」です。
伊勢崎市の「まちなか」を自分の目で見て、耳で聞き、足で感じながら、アンテナを張り、等身大の挑戦を続けられる人を求めています。
「まちを変える」と聞くと壮大なビジョンや大規模な施策が必要だと思いがちですが、そうした取り組みができれば理想的である一方、最初の一歩目のハードルが高く感じられてしまうこともあります。
伊勢崎市のまちおこしで求められているのは、目の前の課題に誠実に向き合って行動できる人材です。
「私自身も県外からの移住者で、伊勢崎に住んで14年になりますが、伊勢崎市は受け入れ体制が非常に整っている場所だと思います。
地域の方々のウェルカムな雰囲気が素晴らしく、『面倒を見てやろう』という温かい大人たちも多いです。こうした環境は、活動を始める上で最高に恵まれたものだと感じています。
新しい土地に飛び込むことに最初は不安を感じるかもしれませんが、その不安を解消できるだけの環境が整っています。アウェイな状況でも楽しめるような、いい意味でタフな人にぜひ来ていただきたいですね」(秋山さん)
地域おこし協力隊がゴールではなく、3年先もまちと関わり続けてもらえるような人材に来てもらうことが募集の本当の目的、とお話される姿は、2期目となる新たな協力隊へのあたたかなエールに満ちていました。
今の自分にできることで、まちと関わる、チャレンジしてみる。
あなたの小さなアクションを待っている人たちがいます。
伊勢崎市の「まちなか地域おこし協力隊」で最初の一歩を踏み出してみませんか?
これからのまちづくりに求める人材とは?〜群馬県伊勢崎市編〜<参加者募集中>
<開催日時>2024年10月23日(水)12:00〜13:00
<概要>オンライン(zoom)・参加無料
イベント詳細はこちら!
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<勤務時間>
■月120時間以上
<委嘱期間>
■令和7年4月1日から令和8年3月31日まで(予定)
■1年毎の契約更新で、最長3年まで延長可能
<兼業・副業>
地域おこし協力隊の活動に支障のない範囲で可能
<報酬>
■委託料(人件費分):上限320万円/年間
■委託料(活動費分):上限200万円/年間
<選考フロー>
1.第1次審査【書類審査】
2.第2次審査【面接審査】
3.委嘱の決定
詳細はこちら!
Editor's Note
地域おこし協力隊としての活動の一歩目をどうするか、隊員一人ひとりが「やりたいこと」どうやって見つけ、形にしていくのかを一つ一つ丁寧に拾い上げていくような温かさを感じました。
ASAHI KAMOSHIDA
鴨志田あさひ