前略、ふるさとがもっと好きになるメディアです。

LOCAL LETTER

28年間「東京・実家暮らし」の彼女が今、地方に移住した理由。

MAY. 30

Ogi-island, KAGAWA

  • お金を稼いでいるのに「満たされない感覚」を抱いている人には、ぜひ読んでほしい!
    杉山 泰彦
    株式会社WHERE

前略
お金を稼いでいるのに「満たされない感覚」を抱いているあなたへ

彼女との出会いはつい先日。LOCAL LETTERリニューアルに向けてお世話になっている制作会社の方から「もしよければお繋ぎしたい方がいます」と連絡が入ったのがきっかけだった。

1988年生まれの29歳。生まれも育ちも東京という彼女は28年間、東京都八王子市にある実家で暮らしてきた。そんな彼女が2016年12月、初めての一人暮らしをはじめたそう。しかも引越し先は「香川県高松市男木町」。瀬戸内海に浮かぶ男木島の古民家に一人で暮らし始めたというのだった。

昔から「食」を大切にする生き方をしたかった。

東京で働いていた頃もとっても充実していた。Web製作のディレクターとして、チームで試行錯誤しながら信頼関係を気づいていく仕事にとてもやりがいを感じていたし、何よりもこの仕事が好きだった。

でも、東京での仕事は忙しかった。

昔から食べることが好きで、作ることが好き。お金を出して高いご飯を食べるのとは違う、自分で作って食べるから感じられる「美味しさ」が好きなのだ。

でも東京で働いていた時はとにかく時間がなくて、お金を稼ぐために仕事をして、お金を出して食べたり飲んだり、本当に忙しい時にはコンビニのお弁当で済ませることもあった。「働いて使って、働いて使って」を繰り返す毎日。

ある時ふと、何のために働いているのかわからなくなった。お金を得られても満たされない自分に気がついた。

自分の豊かな状況って何だろう?

考えてみたらシンプルだった。彼女の豊かさは、自分の大好きな「食」を大切にする生き方をすること。そして今の状況では、自分の好きなことに自分の時間が使えていない状況にも気がついた。

 

「食」に関する仕事をしよう。

漠然と「食」に興味があった。だって「食べること」が大好きだったから。

これからは「食」に関する仕事がしたい!そう思って、まずはいろんなイベントに参加した。そして「地域の食」を扱ったワークショップを受けた時、実際に地域に足を運んで知りたいと突き動かされた。

 

 

そして「WWOOF(ウーフ)*1」を使って、青森県弘前市の有機農場に短期滞在することに。弘前市での生活はすべてが新鮮で、自分の知っている日常とは違う日常がそこにはあった。草や土に触れたのはいつぶりだっただろう。触れる度に感動し、幸せだと思った。

そして東京での仕事も楽しかったけれど、自分が「いいな」と思える環境に身を置いて、「いい」と自信を持って言えるものを作りたいという感情が芽生えた。

 

*1 WWOOF
ホスト(農家)とウーファー(お手伝いする人)が、家族のような間柄になって相手のことを考えお手伝いする仕組み。ホストは食事や宿泊場所を提供し、ウーファーは泊まり込みで農家のお手伝いを行う。

運命を感じる出会いをした

男木島との出会いは運命だったと思っている。

少し長めの休みをもらい、友人と大好きな瀬戸内地域に旅行へ訪れていた。友人よりも1日だけ長く休みが取れた彼女は、一人でも行ける場所を探していた。泊まれる場所があることと、免許がない彼女にとって、車がなくても満喫できるというのが必須項目。

ぴったりの場所を見つけた。それが男木島だった。

男木島には「めおん」という赤くて可愛い船に乗っていくらしい。船に乗り込んで風を感じていると、なんだか別世界に向かっていくような感覚があった。これは何かがあるぞと、ただならぬ予感を感じていた。

そしてふと携帯をみると、知らない男性からFacebookの友達申請が。何事かと思って開いてみたら、なんと今日泊まる民宿のご主人・哲夫さん。ただならぬ「予感」が「確信」に変わった瞬間だった。

男木島に暮らすことを決めた理由

男木島に近づくと、急斜面にぎっしり建っている家が見えてきた。なんというインパクトなのだろう。その光景に一目惚れしてしまった。

「めおん」から降りて男木島へ一歩足を踏み入れると、民宿のご主人・哲夫さんを発見。そこから翌日帰るまで哲夫さんはずっと付き添ってたくさんのお話をしてくれた。

哲夫さんは漁師の仕事をしながら、昔は海苔の加工場だった建物をリノベーションしたゲストハウスを運営していること。男木島の漁師さんは90歳でも元気に船を出していること。男木島にはさまざまな野草が生えていること。今は島の特産品がないこと。そして今後男木島で「地域おこし協力隊」の募集があるかもしれないこと。

そして帰りの「めおん」の中では、この島でどんなライフワークをつくろうかとあれこれ妄想してた。

男木島に住んだからこそわかること

約1年後、彼女は念願を叶えた。地域おこし協力隊として男木島に帰ってきたのだ。

「70歳以上のお年寄りが多い島」と聞いて想像する雰囲気とは裏腹に、とにかく気力と体力、そしてチャーミングさを持っている方が多い。道ですれ違う時、挨拶すればたちまち、誰でもたくさん話しかけてくれる。

家の畑で野菜を育て始めた時なんて、気づいたら隣の家のおじいちゃんが毎日畑にやってきて、私よりも熱心に畑の手入れをしていた。そしておじいちゃんが畑にこれない日には欠かさず「今日は用事があって畑に行けないわ」と電話がかかってくる。

彼女自身、東京にいた時には頻繁に引いていた風邪にまだ一回もかかっていないから驚く。男木島の環境と、いい意味でも悪い意味でも自分のペースで自由に進められることがマイペースな彼女には合っているのだろう。

「お金を使う」ではなく「できることを交換」する

男木島ではここ数年移住者が増え、自分で新しい仕事を始めた人が多くいる。個人事業をやっている人が多いから、普段お世話になっている大好きな人たちの作る料理を食べ、コーヒーを淹れてもらい、髪を切ってもらう。

「お金を使っている」と言うよりは「できることを交換している」ような感覚。

みんな地域を意識的に盛り上げようとするのではなく、自然と好きなことをやって、自然と周りに応援者が増えていき、新しい交流や繋がりが生まれていくのが男木島の特徴でもある。

彼女はamazonも使っている。むしろamazonを使うからこそ、今の充実した生活を成り立たせることができている。だからいろんな働き方や、お金の使い方があっていい。でも彼女にはこの男木島での生き方がちょうどいい。

彼女が今やっている「できること」は、島での出来事や旬の食材を使った献立を紹介する「地域新聞」の制作や、島内外の人が共に参加する料理開発会の企画。

そして今後は、彼女の大好きな「食」によりフォーカスした事業をやっていく予定。手作り弁当の配達と、男木島にある男木味噌を使った商品開発を行って「できること」を増やしていきたいとも思っている。

もちろん新たな事業も彼女一人で作っているわけではない。お弁当の中身は男木島のおばあちゃんと一緒に考えているし、実は隣のおじいちゃんが一緒に育ててくれている畑の野菜は、配達するお弁当に使うつもり。こうして自然と多くの人が集まり、協力し合って盛り上がるのが男木島流なのだ。

さて、今日はこれくらいで男木島の話を終わりにしよう。最後まで読んでくださったあなたは、きっともう男木島のファンになっているかもしれない。

そうそう、今回登場した主人公である「彼女」の名前は、石部香織さん。石部さんは「Woman type」や「男木と献立」で記事を配信しているので、ぜひ覗いてみてはいかがだろうか?

草々

これからも香川県の応援をお願いします。

これからも香川県の応援をお願いします。

これからも香川県の応援をお願いします。

LOCAL LETTER Selection

LOCAL LETTER Selection

ローカルレターがセレクトした記事