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LOCAL LETTER

さあ、お仕事お私事。無印良品の家が設計した、「働く」によって生き方が解放されるワーケーション施設『にっぽうの家』に潜入してみた

OCT. 04

拝啓、大自然のなかで新しい働き方や生き方とじっくり向き合ってみたいアナタへ

2022年4月に北海道上士幌町にオープンした「泊まれる無印良品の家・にっぽうの家」。無印良品の家に宿泊し、自分自身を見つめ、そして上士幌町という町の良さを体感できる宿泊施設です。「新しい働くを考える」をテーマに、自分自身と向き合う、そんな素敵な場所に潜入し、施設運営をされている株式会社スパイスボックス・本郷志貴さんにお話を伺いました。

本郷 志貴(Shiki Hongo)さん 株式会社スパイスボックス / 1993年宮城県仙台市出身。2016年に新卒でスパイスボックスに入社し、プロデューサーとして様々な業界のブランディング/プロモーション業務を担当。2022年4月より北海道上士幌町にて、にっぽうの家 上士幌の管理・運営の現地責任者として従事。
本郷 志貴(Shiki Hongo)さん 株式会社スパイスボックス / 1993年宮城県仙台市出身。2016年に新卒でスパイスボックスに入社し、プロデューサーとして様々な業界のブランディング/プロモーション業務を担当。2022年4月より北海道上士幌町にて、にっぽうの家 上士幌の管理・運営の現地責任者として従事。

何もない、からこそ新たな考えや発想が生まれる。泊まれるワーケーション施設・にっぽうの家

にっぽうの家は、無印良品の家とのコラボレーションで生まれたワーケーション施設。株式会社MUJI HOUSEによって設計されたにっぽうの家は、無印良品の家具・家電でほとんど全てがそろえられている、シンプルで過ごしやすい空間です。東西の2棟にそれぞれ4部屋の個室があり、1階は会議や団らんができるスペースになっています。東棟の1階はレンタルスペースとしても貸し出しており、イベントや会議などでも使うことができます。

「新しい働くを考える」というコンセプトは、エッセイスト・編集者の松浦弥太郎さんと一緒に考えられたもの。多くの宿泊施設は、観光のために泊まって、チェックアウトしてさよならという1回限りの場所。しかし、にっぽうの家は、訪れる人たちの上士幌町の別荘のような場所になりたいという想いでつくられました。

日々の喧騒から離れて上士幌町で過ごす時間。豊かな自然を堪能したり、忙しさにかまけて後回しにしがちな自分自身について考えるような場所でもありたい、と本郷さんたちは考えます。

「せっかく上士幌町に来て宿泊していただけるなら『こんな風に働けたらいいな』『こんな風に暮らせたらいいな』をじっくりと考えられる場所になれば、と。何もない、からこそ新しいことを見つけられたり。小さな町だからこそチャレンジしやすい環境があったり上士幌町に滞在するからこそ、頭を柔らかくして、新しいその人らしいものを見つけてくれる場所になればなあ、と思っています」(本郷さん)

一緒にコンセプトを考えていた松浦弥太郎さんが「まだまだ自分を取り戻すことのできる場所が上士幌町なんじゃないでしょうか」と話すことに本郷さんは感銘を受けたそう。

自分らしく働く、自分らしく生きる、を上士幌町で見つける起点になればいいねと話し合いながらコンセプトを練りました。
本郷 志貴 株式会社スパイスボックス

施設名である「にっぽう」とは、上士幌町で感じた喜びや豊かさをにっぽう=日報として発信できるようになったらいいよね、と話す中で誕生。

日々の嬉しかったことは、毎日を忙しく過ごしているとつい忘れてしまいます。それを忘れないために、上士幌町から世の中に発信できたらという想いで名前を付けました」(本郷さん)

「いつかは宿泊してくれた人にも上士幌町で過ごした時間をにっぽうとして書いてもらいたい」と宿泊者と上士幌町を繋げるきっかけをつくることを目指している本郷さん。オープンして半年、働きに来る人、家族でワーケーションに来る人、道内の人、道外の人、さまざまな人たちと出会いの輪を広げています。

『普段と違う空間で、居心地のいい時間を過ごせた』と話す宿泊者も多いなか、「今後は、無印良品の家だからこその空間のよさと、それ以上の『上士幌町での体験や向き合う時間』にフォーカスを合わせるようなプログラムをやっていけたらいいなと考えています」とこれからの取り組みにも想いを馳せます。

SDGsの未来都市、76%が森林地帯の上士幌町で初めてのチャレンジ

にっぽうの家がある北海道上士幌町は、面積の約76%を森林地帯が占め、酪農や林業などが盛んで、日本一広い国立公園がある自然豊かな町。のびのびとした大地が広がります。

ただ、大自然が広がるだけでなく、SDGs未来都市や脱炭素先行地域にも選定される先進的な町。移住者や上士幌町で事業を行う人も増えており、まさに今注目の町と話題を集めています。

本郷さんも7年ほど前に上士幌町へ取材に訪れ、その自然豊かな環境や先進的な取り組みに魅了されたそう。ついに今回のプロジェクトで一緒に町づくりをできるようになったと喜びを語ります。

「上士幌町自体が、早くからワーケーションの推進に力を入れていて。今回、新たに企業滞在型交流施設を創るという話を知ったときにチャンスだと思い、以前よりお付き合いのあったMUJI HOUSEさんをお誘いして、一緒に構想を練り始めました」(本郷さん)

驚くのは、宿泊施設の運営をするのは、会社としても本郷さん個人としても初めてだったということ。そのため、プロジェクトが採用されてから、施設のコンセプト設計、そして宿泊施設としての運営、インテリアコーディネート、地域を巻き込みながらの場づくりなど、まったく新しい業務へのチャレンジが続きました

「ずっと広告代理店のプロデューサーとして仕事をしてきたので、宿泊施設のプロデュースや運営という業務は仕事内容もガラッと変わって。当初は東京にいながら、上士幌町のプロジェクトの準備を進めていたのですが、せっかくここまでやってきたのに東京で眺めているだけなのはもったいない、現地で肌で感じながらやってみたいと思い、施設開業のタイミングで東京から上士幌町へと移り住むことになりました」と、本郷さん。

東京でブランディングのプロデューサーとして奔走していた本郷さん、実はちょうど自身の働き方についても考えているタイミングだったそう。なので、不安よりも新しい環境でのチャレンジを楽しみに上士幌町へと向かったと言います。

とはいえ、前述のとおり宿泊施設の運営は会社も本郷さん自身も初めて。

「最初は本当に手探りでした。もちろん社内にやり方を知っている人はいないため、社外で施設運営をされている方に連絡を取って話を聞いたり、調べたものをメンバー内でシェアしたり。コツコツと知識をインプットしていきましたね」(本郷さん)

さらに、宿泊施設の運営を肌で感じようと、さまざまな宿泊施設に泊まりに行くこともしていたそう。「(にっぽうの家オープンから)半年、まだまだ全然という感じですね」とあっという間に過ぎた上士幌町での半年間を振り返ります。

そんなコツコツとした地道な行動が実を結び始め、上士幌町の地域の人たちとの繋がりも徐々に出てきたという。

「急に東京から来た人に対しても、上士幌町の人たちはとてもウェルカムでした。日々、町の人たちにサポートいただきながら働いているので『これはもう困った!』ということがあまりないのが正直な気持ちです」(本郷さん)

何もないからこそ『暮らす』が実感できる、本郷さん自身が感じた暮らしの変化

そんな新しい事業に試行錯誤する中、本郷さん自身の働き方にも変化が訪れます。なかでも、東京での生活と比べると「時間の流れを感じながら暮らせている、という感覚がある」そう。言ってしまえば、上士幌町は、何もない町。コンビニは2店舗しかなく、スーパーは18時頃に閉まってしまう。

「最初は東京とのギャップに驚きました。ただ、徐々に上士幌町の暮らしに溶け込んできた、というか。日常の中に自然が広がっていて、季節や時間を感じながら生きているという感覚があります」と何もない町だからこその日々の暮らしを本郷さん自身が楽しむように。

「『スーパーが閉まる前に、仕事を終えて早く帰ろう』というように、以前と比べて時間を意識してリズムよく暮らせていますね。余白の時間で自分と向き合いながら自分自身のことを考える時間も増えました」と、“新しい働くを考える” というにっぽうの家のコンセプトを本郷さん自身が体現しています。

上士幌町と外を繋ぐハブのような存在に。町と人を結ぶ空間づくり

宿泊施設以外にも、上士幌町と外から来た人を繋ぐハブのような存在を目指すにっぽうの家は、イベント施設としての機能も兼ね備えています。

宿泊のみでは、町との関わりは希薄になりがち。そんな中で、町の人に向けたイベントや町の人同士が繋がれるイベント、さらには町の人と宿泊者が繋がるイベントなど、多彩な空間作りに本郷さんは励んでいます。

「先日、にっぽうの家の制服を提供してくださっている東京の古着屋・ドラセナさんがにっぽうの家でPOP UPイベントを開催しました。上士幌町には古着屋がありません。だからこそ、想像以上に町のひとたちが喜んでくださって。こうやって町の人たちにも楽しんでもらえる場を提供できることは嬉しいですね」(本郷さん)

町の人からも「このイベントよかった!」「こういうイベントもあればうれしい」など感想やご意見を遠慮なくもらえる環境なのだそう。「上士幌町と共に作りあげていく、上士幌町と外を繋ぐハブのような場所でありたい」と本郷さんは話します。

町と外とのハブを生み出す本郷さん自身も、町の人との関わり方には意識していることがあるのだとか。

私は町外からやってきたからこそ、自分が持つ疑問や発想は大切にして、地域の人に日々教えてもらうというスタンスでコミュニケーションを取っています。
本郷 志貴 株式会社スパイスボックス

上士幌町の地域の人たちの町に対する熱量を感じ取りながらも、外部ならではからの視点を大切にしている本郷さん。

今後は、にっぽうの家を起点に、上士幌町の自然や魅力を生かした取り組みやプロジェクトを行っていきたいと考えています。

「宿泊施設として1回泊まって終わりではなく、『この地で新しいことをやってみたい』と、わざわざ理由を作って来てくださる人を増やすのが今後の目標ですね」(本郷さん)

上士幌町に泊まり、地域と関わり、新しい自分を見つめ直す。何度も会いに行きたい、そう思える魅力と人と空間が上士幌町には根付いています。ぜひ北海道の「何もない」大自然の中で、ほっと一息、自身の働き方や暮らし方について考えてみる時間をつくってみてはいかがでしょうか?

取材先情報

『にっぽうの家』
〒080-1408 北海道河東郡上士幌町上士幌東3線 229番73(Googleマップ
https://kamishihoro.today/

Information

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Editor's Note

編集後記

上士幌町の大自然、無印良品の家ならではの無駄のない空間設計のワーケーション施設、そして地域との関わり。「ない」からこそ生まれる考えや暮らしの発想を深められる、一度立ち止まってみたいときにぴったりの場所!

本郷さんご自身の働き方や地域での関わり方も素敵に話してくださり、私自身の仕事へのモチベーションも高まりました!

にっぽうの家で「新しい働くを考える」をしませんか?

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