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マッチングの秘策は「I LOVE YOU」と「イエスマン」。官僚と地方公務員を自主的に繋げる男・脇雅昭とは

SEP. 30

拝啓、人と人を繋げていく “ハブ” を担いたいアナタへ

今回取材したのは、総務省から神奈川県庁へ出向し、36歳という若さにして部長を兼務している脇 雅昭氏。総務省に入省後から司法試験に合格するなど、とんでもない実績を叩き出している彼なのだが、裏の顔もこれまたすごい。

脇氏は公務員でありながら、47都道府県の公務員が毎回500人以上も集まる会合「よんなな会」の発起人であり、毎晩どこかの飲み会に参加し続けているという。もはや心の底から「人間」を愛していないとできない生き方だと思った。

そんな脇氏にお会いすると想像通り、いや想像以上の人誑し。初めてお会いした瞬間からとてつもなく楽しそうに会話を始める脇氏。「え、初対面ですよね?」気を抜いたらそんな言葉が出てしまうんじゃないかと思うくらい脇氏はナチュラルに、幸せそうに話をする人なのだ。

脇 雅昭(Masaaki Waki)氏 神奈川県国際文化観光局観光部長 兼 政策局知事室政策推進担当部長、よんなな会 発起人 / 1982年生まれ、宮崎県出身。2008年に総務省に入省。入省後に熊本県庁に出向、2010年に本庁に戻り、人事採用、公営企業会計制度の改正を行う。2013年から神奈川県庁に出向。広く深い人脈を生かして、「よんなな会」を主宰し、官僚と47都道府県の地方自治体職員を繋いでいる。入省後に受験した司法試験に合格。
脇 雅昭(Masaaki Waki)氏 神奈川県国際文化観光局観光部長 兼 政策局知事室政策推進担当部長、よんなな会 発起人 / 1982年生まれ、宮崎県出身。2008年に総務省に入省。入省後に熊本県庁に出向、2010年に本庁に戻り、人事採用、公営企業会計制度の改正を行う。2013年から神奈川県庁に出向。広く深い人脈を生かして、「よんなな会」を主宰し、官僚と47都道府県の地方自治体職員を繋いでいる。入省後に受験した司法試験に合格。

「普通なら繋がらなかったような人たちが繋がることで、新たな価値が生まれることが本当に嬉しいんです」(脇氏)

取材前から脇氏ワールド全開の彼。本記事ではそんな彼の「素顔」と、人と人のハブになるためのノウハウに迫ります。

全都道府県の公務員をつなぐよんなな会、きっかけは「公務員はみな孤独」

47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚を繋げるために脇氏が発起人になって作った「よんなな会」には、会合(という名の飲み会)の度に500人以上の公務員が集まる。会の中では、ただ飲むだけではなく、公務員、民間問わず志を持って活躍している人に講演してもらっているんだそう。

そもそもなぜ脇氏は「よんなな会」を開催しようと思ったのだろうか。

「最初は、僕自身が人と人が繋がる場に行ったんです。大企業で会長を務めている方がいらっしゃる会に先輩に連れて行ってもらって、そこで会長が20代の時から共に切磋琢磨してきた仲間と楽しそうにお話しされている姿を見ました。その姿がとても印象的で、僕もそういう場を作りたいと思ったんです」(脇氏)

その後2008年に総務省から熊本県庁に出向した脇氏。ここでの経験が「よんなな会」を立ち上げるきっかけになったという。

「熊本県庁ではいろんな分野で活躍している方を紹介してもらって、大きな繋がりを作ることができました。総務省に戻ると、自治体から出向派遣できている方が土日も休まずに仕事をしている姿がありました。地元から知り合いもいない中、東京に出てきている姿を見て、『僕に何か恩返しができたらな』と思ったんです」(脇氏)

目の前の仕事に追われていると、視野が狭くなってしまう。孤独に働く公務員の姿を見た脇氏は、自分が熊本で大きな縁をつくれたように、全国の公務員を繋げる場を作ろうと「よんなな会」を開催

「ただの飲み会ではなく、いま活躍している方の講演を挟んでいるのは、講演を聞いた一人でも多くの方が、一歩でも半歩でも踏み出してほしいと思っているからです。ちょっとでもいいから講演を聞いた後に『俺らにもできることあるよね、やらなきゃいけないことあるよね』と思ってくれたら嬉しいです」(脇氏)

現在では「よんなな会」のブランドを解放し、公務員に限らず「よんななお坊さん会」や「よんなな運転手会」など幅広いコミュニティに広がっている。加えて、脇氏自ら毎晩飲み会に顔を出し、日に日に繋がりを増やし「人と人を繋げるハブ」になっているという。

違う立場の人たちが繋がるために必要な「I LOVE YOU」

では、脇氏が人と人を繋げるハブになる上で意識していることはなんなのだろうか。

最初は『多分この人とこの人を繋げたら、世の中良くなるだろうな』って思う人たちを会わせていたんですけど、全然うまくいかなかったんですね(笑)だから飲み会をするときも、余計なことをせずに『いかに自分を無にするか』をすごく意識しています(笑)
脇 雅昭氏 / よんなな会 発起人 

やり続けていると「あ、この人とこの人が繋がるんだ」と、意外なところが繋がっていったという。ハブのプロである脇氏でも、最適な組み合わせがすべてわかるわけではないということだろう。

「僕の世界は狭いから、僕の世界のベストマッチングは、本当の世の中のベストマッチングではないんだということをやりながら感じていったんです。だとすると、僕がやるべきことは、『志を持っている仲間』をいかに集めるかということだと思ったんです」(脇氏)

そして、脇氏が志を持っている仲間を集めるために大切にしているのが「I LOVE YOU」を伝えるための仕掛けづくりだという。

例えば、脇氏が発起人となった「よんなな会」では、一人一品食事を持寄るのがルール。

「3,000円払ってもらってケータリングを頼むのも楽ですが、仲間を集めるためには、会をみんなでつくっていく必要があると思っています。『みなさんの地元のもので参加者に食べてほしいものを持ってきてください』と決めると、参加者の方から『どのくらいの量持って行ったらいいんですか』と連絡をくれたりなんかするんですよ」(脇氏)

脇氏はこの参加者が参加する前から「何を持って行こうかな」と、会のことを考える時間に価値があるという。

「当日は個性的な食べ物を持って来れば持ってくるほど、なかなか食べてもらえなかったりして。持ってきた本人が必死に美味しさをアピールしてくれるんですよね(笑)場があったまってとっても素敵なんです。『地元の好きなものを持ってきて』と伝えると、3,000円という負担感もないし、たまにとてもとても3,000円では食べられないものを持ってきてくれる人もいます。こないだはハブ酒がありましたね(笑)」(脇氏)

3,000円の参加費を払うイベントではどうしても「本当に3,000円の価値を払うイベントなのか? 料理なのか?」と、受け身で会に参加してしまう人も多い。仲間を増やすためには、参加者と一緒に作ることが重要なのだ。

さらに、脇氏にはもう一つ大切にしている「I LOVE YOU」の仕掛けづくりがあった。それは「他己紹介」。

「他己紹介がすごく好きで、あたたかいものだなと思っているんです。自分でこれまでの功績をアピールすることってすごく気が引けるじゃないですか。でも、これを他己紹介で誰かが言うと全然そんなことないんですよね。例えば『こいつは、世界2位の水泳選手なんですけど、そこにいくまでにすごく努力をしていたんですよ』とかね。嫌味なく、相手の本当に素敵なところをみんなにも紹介できるんです」(脇氏)

「あと、誰かと誰かをピンポイントで繋げることはすごく難しいからこそ、みんなの情報を円の中心に集めることで、他己紹介の後には自分が話したいと思った人のところにみんなが勝手に散らばれるんですよね」(脇氏)

事前に「誰々が来る」と伝えてしまうと、人の出会いに優先順位をつけてしまう。自分が想像できない人と出会うのが価値だからこそ、脇氏はあえて事前に誰がくるかを伝えることはしない。「どんな人がくるの?」と聞かれれば「俺の好きな人がくるよ」と伝えるのだという。こう伝えることで、みんな忙しくてもこの場にきてくれる。これも一つの「I LOVE YOU」の仕掛けづくりだろう。「I LOVE YOU」はたとえお金は集まらない行為でも、多くの信頼を集めることで、仲間を増やすことができるのだ

毎年公務員は辞めたいと思う、でも「公務員」だからこそできることがある

そんな脇氏だが、意外にも「公務員」は毎年やめたいと思っているという。

「公務員になって今年で11年目ですが、実は毎年公務員を辞めたいなと思っているんです・・・(笑)数年前に父の『死』に直面した時、同時に『生』を感じました。人間にはいつか死が訪れるからこそ、自分の生きている時間がとても貴重なんですよね。そう思ったときに公務員が自分にとっての『生』なのかはとても考えました。」(脇氏)

当時からすでに大きな仕事をしていた脇氏だが、彼の周りにいる社会起業家と呼ばれる人たちが誰からも頼まれていないのに、世の中のために走り続けている姿を見た時、自分の人生に大きく迷いを持ったという。

「僕は、このままでいいんだろうかと2年くらい悩みました。当時は社会起業家のようにビジョンや夢を持たなくちゃと必死でしたね。今は、誰かが喜ぶだろうなと思いついたことがあれば、それをやればいいと思っています。今でも自分のビジョンや夢はわかりませんが、人生の最後に振り返ってみた時、『僕はこんなことをやりたかった人生なのかな』と思えれば幸せだと思ったんです」(脇氏)

脇氏が今たどり着いた答えは「頭の中で考えているだけでは何も変わらない」ということ。行動し続けた彼の人生の最後を振り返った時、自分のビジョンや夢が明確になったらそれでいいということ。

ハブになりたければ「イエスマン」になろう

では、彼にとって「公務員」とはどんな存在なのだろうか。

「公務員は無色透明。利益をあげて稼ぐことはできませんが、社会的信頼をもっています。だから、僕が人と人のハブになってできることは多いんです。あとは、行政の世界で民間のマインドを理解してハブになることにも価値があると思っています」(脇氏)

彼は公務員の可能性を誰よりも信じている。そして、公務員の志や能力を1%上げたら、世の中がさらにいい方向へ向かうと信じているからこそ、自らも公務員という同じ土俵で奮闘したいと語ってくれた。

そして、そんな彼がハブであるために今まで続けてきたことを尋ねると、シンプルな答えが返ってきた。

僕はずっと『イエスマン』をやっているんです。世の中で起こっていることは、言語化できるものとできないものがあると思っていて、僕も今日の取材でいろんなことを話しましたが、これって行動した後に誰かが僕の行動を見て、言語化してくれたものを使っているだけなんです(笑)だからこそ、自分の軸になるワクワクがとても大事だと思っていて、これらをいかにブラッシュアップできるかが大切だと思っています」(脇氏)

理由をつけようと思えば、きっとどんなことにだって理由はつけられる。だからこそ、頭で考えた理由よりも自らの価値観や直感(脇氏の言葉を借りるなら「ワクワク」)が大切だと脇氏はいう。

「僕は自分にきた話は何かしらの意味があるんだろうなと思うようにしていて、行かない・やらない理由なんていくらでも見つけられるからこそ、行くことや、やることに意味があると思っています」(脇氏)

「これ面白くないんじゃないか?」と思うことがあっても、とにかくやってみるという脇氏は、自らの「行動」で多くの人を巻き込み、仲間をつくり、ハブとして新しい繋がりを生み続けていた。

数多くのイベントの企画・運営、飲み会やイベントへの参加を繰り返しながら、今のスタイルを確立してきた脇氏。今の彼があるのは、とにかく行動をし続けた結果にほかならない。

僕は自分にきた話は何かしらの意味があるんだろうなと思うようにしていて、行かない・やらない理由なんていくらでも見つけられるからこそ、行くことや、やることに意味があると思っています。
脇 雅昭氏 / よんなな会 発起人 

自らが「いい」と思ったものを行動に移せる人は全体の約20%、さらにその行動を継続できる人は約1%としかいないと言われている中、「ただやりたいと思ったことをやっているだけ」と話す脇氏の凄さは、何よりもその「行動力」と「継続力」だろう。

Information

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LOCAL LETTER MEMBERSHIP とは、「Co-Local Creation(ほしいまちを、自分たちでつくる)」を合言葉に、地域や社会へ主体的に関わり、変えていく人たちの学びと出会いの地域共創コミュニティ。

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Editor's Note

編集後記

「人の心を動かすのに、僕の場合は自分の行動で魅せられたらと思っています」そう語る脇さんのファンになる取材。爆発的な行動力と継続力に、今後の脇さんからも目が離せません。

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