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LOCAL LETTER

非日常を日常にする、マーケットの力。|マーケットの学校 第2回レポート

NOV. 11

KITAMOTO, SAITAMA

前略、いろんな視点から、マーケットの良さを知りたいアナタへ

地域の中でより豊かに暮らす人を増やすことを目指し、「暮らしの中で楽しみをつくる」をキーワードに、埼玉県北本市で『マーケット』をテーマとした実践的な講義「マーケットの学校」。

第2回が開催され、現地参加17名、オンラインで20名ほどの方が参加。初回に出された「マーケットの定義」を参加者同士でシェアし合い、実際にマーケットを運営している方たちをゲストにお招きし、リアルな話を聴きました。

主催者・出店者・参加者それぞれの目線からマーケットを考える時間となった第2回目の様子をレポートします。

<講義編:全5回>
【第 1 回】 9/5(土)13:30~16:00
改めてマーケットって何なのか考えてみよう「マーケットの話」
【第 2 回】 9/19(土)13:30~16:00

 実際にやっている人に話を聞いてみよう「マーケット運営者座談会」
【第 3 回】 10/3(土)13:30~16:30
 マーケットを妄想する1 「北本でのマーケット文化を考えてみよう」
【第 4 回】 10/17(土)13:30~16:30
 マーケットを妄想する2 「北本でのマーケットのフィールドを見てみよう」
【第 5 回】 11/8(日)13:30~16:30
 マーケットを妄想する3 「北本でのマーケットの実現に向けて」

 ※第1回~第3回の様子は、以下サイトよりご覧いただけます。

きたもとで考える「マーケットの学校」(北本市ホームページ)

みんなの思うマーケットの定義とは。

前回の第1回目の講義では、講師陣の話を聴きながら、参加者が好きなマーケットを共有し合い「マーケットの価値とはなんなのか」を改めて考察。講師、受講生同士がお互いに意見交換する中で、「直接会える」ことや、その場に行くことで「何かを得られる期待感」があるというのがマーケットの価値と捉えている人が多いことがわかりました。

第1回目のレポート記事はこちら

今回の講義では、前回の「マーケットの可能性を知る時間」を踏まえた上で、マーケットの運営者、出店者3名のゲスト講師をお招きし、参加者同士でマーケットの定義をディスカッションしながら、『実際にマーケットに関わる人たちが、どのような思いでマーケットの運営や出店を行っているのか』を赤裸々に聞いていきました。

当日は、前回の講義の最後に出された宿題「マーケットの定義」について、参加者同士でシェアをするところからスタート。

最初に話をしてくれたのは、講師の建築家・鈴木美央さん。(今回はオンライン参加)

鈴木さんは、現在の日本のマーケットは2010年に農林水産省が打ち出した施策から、都内でも有名な「青山ファーマーズマーケット」のようなものが次々と誕生し、現代マーケットが始まったと伝えた上で、現状の日本には、マーケットの明確な定義があるわけではないことも教えてくれました。 

さらにこの現状を「マーケットは誰もが探っている状況なのではないか」と捉えているという美央さんは、だからこそ「私たちはマーケットをこんな風に見ているという、言語化をすることが必要なのかもしれない」と参加者に伝えます。

マーケットと日常をどのようにつなげていくのか。参加者それぞれが思う「マーケットの定義」を、グループに分かれ、発表し合いました。

「マーケットとは…?」と聞かれたら、アナタはどのようなことを伝えるでしょうか。

各参加者グループの発表を聞いていくと、「つくり手と消費者がコミュニケーションをとれる場所」「非日常やワクワクを体験できる場所」「新しい出会いや発見がある」といった言葉が出され、共通した認識はみんなの中にあるようだとわかります。

さらに、参加者が考える「マーケットの定義」の中には、「自己表現をできる場」や「私の居場所をつくる場」という意見も。

一方で、進行を務める観光協会の江澤さんは、「誰かにとってマーケットが居場所になるのは重要な半面、自分『だけ』という考えに陥らないバランスも重要」と話します。

ゆるやかなつながりを生み出すマーケットという場は、誰もが何かを始めやすい場所でもあります。自分がチャレンジしやすく、自分の居場所をつくりやすい場所。そしてそれと同時に、誰もがチャレンジしやすく、誰かの居場所としても開かれている場所であるということです。

さまざまな人たちの挑戦や活動を実現できる開かれた場だからこそ、自分の居場所もつくることができる、ということを理解しておくと、よりマーケットを楽しめるのではないでしょうか」そう江澤さんは参加者に投げかけます。

マーケットは、それぞれのきっかけになる。

「マーケットの定義」を話し合った後は、今回登壇した3名のゲスト講師たちのお話がスタート。

1人目のゲストは、北本市のお隣、吉見町でワークショップと雑貨の店「WOOLY」を運営する、井上直美さん。

コロナ禍で、現在は物販はせずワークショップと企画展を行って店舗運営を行っています。子育て中のお母さんでもある井上さんは、どんなときでも「自分の時間は持っていたい」という思いがあったことから、ワークショップや企画展を行うお店を持つことを決めたのだそうです。

とはいえ、井上さんのお店は、お客さんがふらっと訪れることが可能な場所になく、お客さんに “目指して来てもらう” 必要があったことから、「私のお店を目指したいと思ってもらうために、目に見えないものを売ろうと思った」と井上さんは話し始めます。

今の時代はモノが安く簡単に手に入る時代ですが、井上さんは「ワークショップなど過ごす時間に価値を見出せる人たちが、お店に来てくれて豊かな気持ちになってもらえたら」と運営にあたっているのだそう。

「多数店舗が集まる場だけがマーケットなのではなく、井上さんのように場を持ちながら、人やモノが入れ替わる企画展、ワークショップをやっているのもマーケットの一つだ」と、進行を務める江澤さんはいいます。

「以前から、参加者としてマーケットやお店を訪れることが好きだった」と話す井上さんは、非日常の要素があるからこそ、面白い、楽しいにつながると考え、「生産者や販売者とその場で出会えるという価値は、インターネットにはなく勝負できる部分。出店者にとっては自分の立ち位置を知るいい機会です」と笑顔で話します。

マーケットを定期的に開催することで、お店が向上できるという良さを見出している井上さん。

さらに、井上さんは「マーケットそのものの信頼を高める」こととして、「行政のサポートの重要性」があるとも感じているんだそう。だからこそ、「マーケットの学校」を運営する北本市が、「マーケット」を切り口に講座をすること自体に驚き、「北本市は、開かれたマーケットができる土壌があるまちだ」と思ったそうです。

お写真左から)間宮 潤一郎さん、影山 幹さん、井上直美さん
お写真左から)間宮 潤一郎さん、影山 幹さん、井上直美さん

続いて2人目の講師、伊奈町在住の影山 幹さん。

影山さんは、2006年に蕨市から伊奈町に移住し、町で地産地消のお野菜などを使用したお惣菜弁当屋を運営(2020年10月閉店)。11月中旬以降からは、地元農家が新たに手掛けるレストラン事業の担当者として、「はたけのだいどころ ベジボーイキッチン」の運営を行う予定なのだそう。

地元野菜にこだわり、「地元の人たちに地元産の野菜の魅力を伝えたい」と活動をされています。

影山さんは、マーケットの出店者としてだけでなく、主催者として町にある公園でマーケット「いなぼっこ」を開催。当初は、企画を持ち込んでもなかなか話を聞いてもらえない状況もあったそうですが、町の協力者たちの働きかけのお陰もあり、ようやくマーケットの実現ができたのだと、当時を振り返りながら話します。

そして、影山さんが実施したマーケット当日、まちなかの賑わいに驚いたのは、行政側だったのだそう。その後、観光協会の方から声かけもらい、今では50店舗程のお店が出店する大人気マーケットにまで成長させています。

影山さんのこの経験は、まさに “市民たちの楽しむ姿が、行政を動かした” 事例。

主催者としては「最初に行政のサポートがあったなら……。」と思うところもあるかもしれませんが、まちを楽しむ人たちを見て、結果として行政が広報などをサポートする動きが生まれています。市民が自らまちを楽しんでいる光景が、行政を動かすきっかけになったのではないでしょうか。

そんな影山さんは、出店者目線でマーケットを「自分たちの実力をはかれる場所」と定義します。さまざまなジャンルのお店が集うと、ブースの色が出ます。出店すると、自分たちのお店の反応を見たり、さらに他の出店者のディスプレイなどを勉強することができ、より自店のアップデートにつなげていけるのだと話します。

「日常に新たな選択肢をつくりたいという気持ちがあった」と話したのは、久喜市でカフェクウワなど飲食店を2店舗運営する、3人目の講師・間宮 潤一郎さん。

カフェ店内の小規模イベントから、大規模マーケットまで様々な出店経験を活かして、北本市観光協会の江澤さんらと一緒に、100店舗を超える一大マーケット「縁側日和」を久喜市内で開催。立ち上げから運営までを行うなど、主催者側としても実績を持っている方です。

現在運営する「BEACON coffee and bakes」は、地元の公園内にあるカフェ。ここは、同公園内で開催された「縁側日和」に出店していたのをきっかけに、公園側から店舗をつくらないかと声をかけてもらったことでオープンが実現したお店なのだそう。

「日常をよくしたい」という思いを軸にさまざまな行動をするという間宮さんは、非日常を味わえるマーケットの場から、店舗という形で日常をつくりだしました。

この公園は県の管轄する公園ですが、誰もが知る有名店を誘致するのではなく、マーケットの運営を見て、間宮さんに話が回ってきたということそのものが、間宮さんが地域に馴染み、そして日頃からの関係性から生まれる安心感があった結果なのではないでしょうか。

「誰が、なにを、どんなふうに届けているのか」ということがわかるマーケットがきっかけとなり、新たな動きにつながった事例です。

やりたいことができるまちは、人々の「楽しい」を生み出す。

マーケットにはさまざまな可能性や価値があると理解が進む中、改めてよりよいマーケットをつくるには、行政のサポートも重要であるということがわかってきます。

行政サポートといっても、「ヒト・モノ・カネ」とさまざま。講師の話からは、マーケットを開催するときに助かったこととして、広報支援や各種手続きの際のサポートが心強かったという声がたくさんあがりました。

「チラシに行政の名があるだけで、担当者や市民の印象は変わる」「保健所や消防の申請がスムーズにできた」など、小さな支援の積み重ねでマーケットに対する市民の信頼を得ていくことが、マーケットのさらなる盛り上がりにつながっていくのかもしれません。

国内外のマーケットを知りつくし、自身も主催者としてマーケットをつくっている講師の鈴木さんも「行政が入ることで、マーケットの継続につながる」と行政支援の大切さを訴え、同時に、主催者はじめマーケットに携わる人たちの、情熱や善意に頼るマーケットになって、主催者が疲弊してしまうことがないように、行政として仕組化していくことが必要と伝えます。

また、行政に対して市民(主催者)の側がマーケットの価値をしっかりとプレゼンテーションできることも大切だと江澤さんはいいます。マーケットは、まちの魅力を向上させる力のあるものだと価値を伝えることも継続には大切なことかもしれません。

さらに、行政に向けて次のように話します。

「行政側は、このまちでやりたいことができるんじゃないかと(市民に)思ってもらえることが大事。自分のまちに対して関わっていると実感できると、愛着やシビックプライドの醸成につながり、まちに住み続けることにつながるのは、マーケットの価値としてしっかり説明できます」

鈴木さんの話に対して、江澤さんは、北本市で活動をしている理由として「まちを好きであるという以上に、楽しいことをやらせてくれるまちだからここにいる」といいます。

あっという間に時間が過ぎ、まだまだいろんなディスカッションができそうな中、第2回が終了。これほどまでに「マーケット」を考える時間はありません。知れば知るほど、マーケットには関わる個人やお店、まちなどに、よい影響をもたらすものであると感じます。

マーケットを通して、主催者も出店者も参加者も前向きな何かを得られたら「楽しい」「面白い」といった感情になり、その先の行動へとつながっていくのでしょう。マーケットは、非日常から日常をつくりだす最高のツールです。

やりたいことができるまち。

こんなまちを目指し、北本市は「マーケット」を通して自分のワクワクをカタチにしたい人たちを支援できるようにと、行政として真剣に考えています。

「マーケットの学校」の講義編は残り3回。参加者が北本市でどんなマーケットを実現するのか、今から楽しみです。

現在、北本市では、あなたのやってみたいを応援する「&greenプロジェクト」を実施中!

「北本の里山の中で、子供向けのイベントを。」「北本の雑木林で音楽会やマーケットイベントを。」「北本の農産物を使った加工品づくりを。」などなど、北本の緑やまちの資源を生かした、あなたのやってみたいアイデアをマッチングなどの支援を通して実現するプロジェクトですので、ご興味ある方は以下ボタンから詳細をご覧ください。

Editor's Note

編集後記

観光協会の江澤さんが言った「関係性が見えると買う理由ができる」という言葉にマーケットのすべてが詰まっているように感じました。行政と主催者、つくり手と参加者のように関係を築いた結果をリアルに実感できるのがマーケットであり、「関係性が見える」きっかけがマーケットには詰まっていると思いました。「この人から買いたい」「この場所に行きたい」「このまちって楽しい」と行動や感情の動きにつながるのは、確かに自分自身が人、モノ、コトを理解できたときだと思います。マーケットは関わる人それぞれを自然と引き上げていく力のあるものだと改めて可能性を感じました。

「マーケットの学校」の応援をよろしくお願いします!

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