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LOCAL LETTER

長崎は顔、鹿児島は脚。まるで生き物のように、一丸となって西を向く九州

MAR. 14

KYUSHU

拝啓、東京一極集中から抜けて、九州から世界と繋がりたいアナタへ

※本レポートは、九州の近未来を語り尽くす一日『ONE KYUSHU サミット 宮崎 2024』のセッションの1つ、「2030年の九州 – 世界につながる地域を目指して」のディスカッションを記事にしています。

コロナ禍を経て、再び地域の観光業が注目を集めています。国内はもちろん、インバウンドの需要をどう取り込むのかを考え、悩んでいる地域も多いのではないでしょうか。

ここ数年の九州では、県ごとではなく九州全体でこの問題に取り組む動きが急速に進んでいます。本記事では、いかにして九州が一丸になって取り組んでいくべきか、そのヒントをお届けします。

前編記事では、世界の中の九州の現在地と、今後の可能性について紹介しました。

後編記事では、九州全体がつながることで実現する、東京にはない独自の在り方を模索していきます。

九州全体の魅力である「彩り」 と「幸福感」

村岡氏(以下敬称略):九州の特徴を一言で問われると、「彩り」だと思うんですよ。東西南北全部違っていて、特徴がある。

北海道とよく比べられると思うのですが、食糧生産高は北海道が日本一です。でも、これって九州の面積が1.5倍あるんだから、当たり前なんですよね。それに対して、九州全部足して数値化するとですね、実は多くの農畜産物の50%以上を九州が占めていたりする。

先ほど“彩り”と言いましたが品種の多様性がすごくて、おそらくアジアでNo.1の国ですね。例えば柑橘なら小さな金柑からお化けみたいな晩白柚まで15種類ぐらい並ぶのがすごい面白い。

村岡 浩司 氏 ONE KYUSHU サミット 会長、株式会社一平ホールディングス 代表取締役社長 / 1970年、宮崎県生まれ。人口12,000人のまち、宮崎市高岡町で廃校となった小学校をリノベーションし、カフェやシェアオフィス・コワーキングを併設するMUKASA-HUBを運営。“世界があこがれる九州をつくる”を経営理念として、九州産の農業素材で作られた「九州パンケーキミックス」をはじめとする商品開発の他、カフェ・飲食店を国内外に展開。食を通じた地域活性化やコミュニティ創生にも取り組んでいる。
村岡 浩司 氏 ONE KYUSHU サミット 会長、株式会社一平ホールディングス 代表取締役社長 / 1970年、宮崎県生まれ。人口12,000人のまち、宮崎市高岡町で廃校となった小学校をリノベーションし、カフェやシェアオフィス・コワーキングを併設するMUKASA-HUBを運営。“世界があこがれる九州をつくる”を経営理念として、九州産の農業素材で作られた「九州パンケーキミックス」をはじめとする商品開発の他、カフェ・飲食店を国内外に展開。食を通じた地域活性化やコミュニティ創生にも取り組んでいる。

高峰氏(以下敬称略):先日リリースされた幸せ指数では宮崎県が1位でした。

高峰 由美 氏 株式会社ブルーバニーカンパニー 代表取締役 / 宮崎市出身。筑波大学卒業後、商社勤務を経て独立し、東京で韓国化粧品の日本での販売を手がける。宮崎にUターン後は企業支援やフードビジネスの支援全般を手がけながら、台湾とのビジネスマッチングや交流促進を積極的に行い、台湾と宮崎との関係人口創出は9年間で5,000人を超える。また、アートプロジェクト「JUMPING ART PROJECT」を主宰。障がいのあるアーティストのサポートを行なっている。
高峰 由美 氏 株式会社ブルーバニーカンパニー 代表取締役 / 宮崎市出身。筑波大学卒業後、商社勤務を経て独立し、東京で韓国化粧品の日本での販売を手がける。宮崎にUターン後は企業支援やフードビジネスの支援全般を手がけながら、台湾とのビジネスマッチングや交流促進を積極的に行い、台湾と宮崎との関係人口創出は9年間で5,000人を超える。また、アートプロジェクト「JUMPING ART PROJECT」を主宰。障がいのあるアーティストのサポートを行なっている。

村岡:これは少し不思議ですよね。宮崎県は所得で最下位です。日本一貧乏で稼ぎがないのに幸福度1位ってどういうことなんでしょうか。まるでブータンのように(笑)、外と比較しないってことですか。

大瀬良氏(以下敬称略):本当に何が正解かわからない時代がやってきていると感じます。もうお金だけ頼っても駄目だよねと。

ワクチンを打つか打たないか、コロナ禍における対応1つとってみても、正解がわからなくなったように、お金だけが正解とか、都会だけが正解という時代ではなくなったと感じます。

大瀬良 亮 氏 株式会社遊行 代表取締役 / 1983年 長崎県長崎市生まれ。2007年 筑波大学卒業後、株式会社 電通入社。(~2019)2015年 内閣官房出向。(~2017)2018年 つくば市役所にてまちづくりアドバイザー就任(~2020)2019年 旅のサブスク「HafH(ハフ)」創業。2022年 株式会社 遊行 創立。2023年 国立大学法人 金沢大学 先端観光科学研究所 特任准教授 就任。一般社団法人 日本デジタルノマド協会 幹事 就任。
大瀬良 亮 氏 株式会社遊行 代表取締役 / 1983年 長崎県長崎市生まれ。2007年 筑波大学卒業後、株式会社 電通入社。(~2019)2015年 内閣官房出向。(~2017)2018年 つくば市役所にてまちづくりアドバイザー就任(~2020)2019年 旅のサブスク「HafH(ハフ)」創業。2022年 株式会社 遊行 創立。2023年 国立大学法人 金沢大学 先端観光科学研究所 特任准教授 就任。一般社団法人 日本デジタルノマド協会 幹事 就任。

高峰:東京から宮崎に帰ってきて一番変わったのが、「私」という言葉の定義です。東京にいるときは「私=me」だったのですが、宮崎に来てその枠が広がった。

例えば、宮崎をディスられると私は痛みを感じますしコロナで地域が疲弊しても痛みを感じました。私という言葉が宮崎にいると極大化してくるんですね。台湾でもそれを感じます。

だから私にとって幸せの定義というのは、私が極大化できる場所にいるかどうか。宮崎の人って、そういう風にローカルで生きていて幸せを感じるんじゃないかなというところを、私は感じましたね。

村岡:そういう共創感であったりとか、助け合いだったりとか、交換経済だったりとか、お金に代わるもう1つの軸を大切にしてる感じは、九州全体を覆っているような気がします。

大瀬良:九州って朝鮮半島との貿易があったので、外から来る人との交流を通じて何かよい新しいものを得られるという歴史的な感覚があるんじゃないかなという気がしています。

たとえ日本語だけでも分かりあえる、通じ合いたいという意志

橋本氏(以下敬称略):国民性かもしれませんが、九州人は飽きっぽい性質であるとは思います。良い悪いではなくて、1つの性格として。

橋本 司 氏 福岡地域戦略推進協議会 シニアマネージャー / 福岡で創業したAI系スタートアップのCEOを経て現在の62Complexを創業。エンジニアとして10年以上のキャリア。スタートアップの経営を行う傍ら支援を行う団体の取りまとめ役も担う。
橋本 司 氏 福岡地域戦略推進協議会 シニアマネージャー / 福岡で創業したAI系スタートアップのCEOを経て現在の62Complexを創業。エンジニアとして10年以上のキャリア。スタートアップの経営を行う傍ら支援を行う団体の取りまとめ役も担う。

村岡:でもこうやって言語化するって大事ですよね。「僕らだけだったらわかるでしょ」みたいなことをちゃんと言語化して伝えていくこと。大瀬良さんが紹介していたノマドツアーで感じたことを九州全体に広げていきたいと思うので、そのときの感覚値をもうちょっと知りたいです。 

大瀬良:九州は、たとえ英語が話せなくても、同じアジアだったらなんとなく意思が通じると感じてくれる方が多いように感じます。“居酒屋の店主が、英語は通じなかったがとてもフレンドリーだった”といったエピソードもたくさん聞こえてきました。九州のオープンマインド気質を感じましたね。

もちろん英語が話せないから話したくないとか、距離を置く人たちは一定程度いますけど、でも話したいんですよね。最初は薄い膜というかガラスの天井のようなものがある感覚ですけど、一緒に同じ釜の飯を食べちゃえば、なんとかなるなと。

村岡 :僕の実家が寿司屋で、お母さんは80歳になるんですけど、相手が韓国語であろうが台湾語であろうが英語であろうが、全部日本語で会話してます。それでも全部通じている。それでいいと思うんですよね。

ところで高峰さんはバックパッカーで台湾に100回以上行っていますが、台湾って本当に一番近い国ですよね。宮崎から1時間半のところに東京があって、反対に1時間半行くと台湾がある。九州と台湾は全く同じ大きさで、新幹線の長さまで一緒で新幹線の駅の数まで一緒だという。

高峰:日本が統治していた時代ってきっかり50年あったんですけども、日本から台湾に学校の先生や警察官などいろんな方が行ったんですよね。その割合は九州の方が多かった。ですので、「九州弁」を教えられたり、料理も日本から伝わった味が多かったと聞きます。

原住民の若者とよく話したことがあって、その時話していたことが印象的です。「元々日本が統治していたこともあって、親和性もあるし憧れもあるけれども、一方で自分の国にたくさんの日本の文化ができたり店が増えたりっていうのに非常に複雑な思いがある」と話していました。その時に、一方向じゃなくて両方で一緒に、九州と台湾の人たちが未来を見ていけたらなと思いました。

大瀬良:台湾は日本からいろいろ学ぼうという姿勢がすごく熱心にありますよね。台湾の高齢化あるいは少子化、人口減少って日本以上に深刻なんですけれども、そんな中で地方創生って日本と全く同じ言葉を使って、政策も立てたりしている。結果彼らの方が僕らよりも全然すごいことをやっていたりすることがあって、逆に日本が学びにいくことも起きてるんですよね。

高峰:台湾塾』でよく聞かれたのが、「台湾はもちろん、日本からたくさん学びたいことがある。じゃあ日本は台湾から何を学ぶのか」ということです。私はそのとき答えられなかったんですけども、10年以上台湾交流をやっていて、今言えるのは。「DO」ではなく、「BE」を学ぶことです。

熱心に学ぶ、真摯に学ぶという姿勢だったり、あとは速く動くというところだったり。そのアティチュードの部分は本当に学ぶべきだと思います。

宮崎が歴史的に育んだ、グローバルを受け入れる気質

村岡:橋本さんは福岡でスタートアップ支援をやっていて、今いろんな国との連携が福岡もどんどん進んでいると思うのですが、福岡を中心として動き始めている印象はありますか。

橋本:コロナの影響で一旦停滞しつつもまた改めて海外の方の数が、去年の年末ぐらいからかなり増えていると感じます。そうやって福岡自体動いているんですけど、グローバルとまた関わっていく中では、お話の中にあったように熱量が大事だとも感じています。

私が宮崎の方と接していて感じるのは、強い熱意です。本来役所の方ってルーチンワークで業務をこなすのが基本のはずなのに、その方たちの熱量がとても高かったりする。こういうのは1つの大きなポテンシャルだと感じます。

橋本:宮崎市長がおっしゃっていたんですけど、宮崎は元々いろんな土地から人が集まってきて明治以降発展していった都市なんだそうです。そもそも周りの方たちを受け入れやすかったり、もしくは周りに出ていくときのハードルが低いといった気質もあった。そういう意味での可能性が非常にある土地だとも感じています。

グローバル化って2つの側面があると思ってます。グローバルな形を受け入れるのと、グローバルに出ていくことの2つがあると思うんです。その時に、先程話したような宮崎の気質はすごく役立つのではないでしょうか。

村岡:皆さんありがとうございます。そろそろ今日のお話をまとめていきたいと思います。

まず、九州を1つに捉えて外から来た人に九州全体を回ってもらおうという仕組みを、九州全体で考える必要があります。例えば空港1つとっても、福岡から入って各県に回る仕組みを、全体で設計をしていかないといけないといけません。

それから、高峰さんのように個人が、時間をかけてでも繋げていくんだっていう情熱。さらに大瀬良くんのように最初から壁がない状態を目指すこと。 

この3つが今日のポイントだと感じました。

農業従事者もITと英語を駆使して、世界と繋がっていく時代

大瀬良:僕は今日話をしていて、東京を意識しすぎないことが幸せの1つになるんだなと改めて思いました。

ONE KYUSHU サミットのロゴデザインを見て思うのですが、九州って1つの生物みたいですよね。長崎が顔になって、大分、宮崎の強い背骨があって、鹿児島の太い脚があって、熊本のでっかいお腹があって、佐賀や福岡が胸の部分というふうに。小さい頃から僕にはそんな風に見えていたんですよ。

そしてその生物は西を向いている。だから僕らはやっぱり東ではなく、これからもっと西を見ていく時代なんだろうなというふうに思っています。

村岡:デジタルノマドツアーはぜひ九州全体でやっていきましょう。それでは、高峰さんに最後の締めをお願いします。

高峰:私の師匠に、福岡の田中豊さんという方がいらっしゃいます。今ちょっと先生はご病気なんですが、10年前に先生が台北でお話されたことを締めの言葉としてお話します。

「農業が未来型先進産業になる日。今、日本政府は農業改革を実現するなどとして、大規模農業の推進やJAの再編などを進行させています。ところで私たちは競争と成長を宿命づけられている。行き過ぎた現代の金融資本主義は、近いうちに変容せざるを得なくなるはずだと考えています。

その後に訪れる新たな社会は、まだ具体的には見えていませんが、少なくとも、エネルギー、食料、農業関係の産業は地球規模で重要な位置を占めることは間違いがありません。食料の量や質、安全性を確保するための農業の近代的な栽培技術や経営技術は、近い将来全世界から求められる極めて重要な能力であることは疑う余地がありません」

高峰:今後はIT技術や金融技術に取って代わり、皆さんのような農業エンジニアは、地域のみならず世界が活躍の舞台になる先進産業の専門家になるのです。ですから、農業者も外国語をマスターし、IT機器を使って情報発信することも決して珍しいことではなくなるでしょう。

自然とともに共生し、人類の永遠の生存を保障するためにも農業者は自信と誇りを持ち、国境や政治的立場を超えて、10年後、100年後を見据えてもっと連帯すべきだと考えます」

この機会に会場の関係者の皆様で交流が深まり、新しい未来を切り拓いていくことを大いに期待しています。本日はどうもありがとうございました。

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Editor's Note

編集後記

九州がまるで一つの生き物であるかのよう、という視点は、一つにまとまっていく上で意外と大事な感覚のように思います。身体のように、それぞれが必要不可欠な要素としてまとまっていけば、九州はこれから大きく飛躍していけるのではと感じました。

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