地方創生
テレワークの普及や働き方改革により、今まで以上に地方への関わり方が濃くなった昨今。
企業としても「地方創生の糸口で地域へ関わりをもちたい」と考えはじめてはいるものの、「何から取り掛ればいいのか」、「どこの地域で関わりを深めていけばいいのかわからない」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんなアナタに送るのは、淡路島の魅力を届けるオンラインイベント「行政担当と地方創生ビジネスのプロが語る新しい地域事業の見つけ方」の一部始終。
大手企業の本社業務の移転を皮切りに、新しい観光スポット、宿泊施設などが増えている淡路島。前編では主に南あわじ市の現状や魅力について語っていただきましたが、後編では、南あわじ市が持つ地域課題を活用し、地域創生へと結ぶヒントを語っていただきました。
竹内:ここからは「地方創生による価値創造」をテーマにお話したいのですが、行政が思う南あわじ市の課題は何だと思いますか?
阿部:どこの地域も共有課題だとは思いますが、高齢化・人口減少による人材・後継者不足ですね。課題も市役所の担当課の数だけ要望が違うと思うので、Penseurさん(竹内さんが執行役員を務める会社)のように、解決策を一緒に見出してくださる方を繋いでいただけるとありがたいですね。
竹内:これからは、顕在課題を解決する力を持つ都市型法人と、顕在課題を抱えている地元企業や行政が連携することで、新たな価値創造を生み出していくことが重要。
その中でも、まずは都市型法人で働く人たちが、会社の中だけで仕事をするのではなく、ワーケーションなりを活用して、地元の人たちと交流する。そうすることで、両者の知見が混じり合い、新しい価値創造が生まれ、結果的には、潜在的な問題の解決にも繋がるんじゃないかなと思っています。
竹内:一つの事例として、私たちが地域の課題解決に向けて行なっている取り組みも、簡単にご紹介します。
竹内:まず一つが、廃校問題。全国同じ課題を抱えている地域は多いかと思いますが、南あわじ市でも毎年廃校が出ている状況です。
その利活用として考えたのが高専(高等専門学校)の誘致。これもどの地域も同じですが、高校を卒業した後は、東京か大阪という2大都市へ人が流れてしまう現状があります。そこで一般的に5年間の一貫教育を行う高等教育機関を南あわじ市につくることによって、人口の流出を抑え、高専で学んだ知識を活用し、新たな事業を生み出すことで雇用の創出ができないかと考えています。
竹内:観光地として人気の高い淡路島ですが、人材不足は深刻な課題となっていて。人材不足を理由に、ホテルが100%稼働できないという問題が既に起きています。この人材不足に関しては、専用の宿舎を構えるなどをして、人材の誘致を検討していますし、そのほかにも自治体連携や、広域連携などの取り組みを進めているところです。
他にも、まだまだ課題が多く、利用企業も少ない「ワーケーション」にも着手し始め、旅館を改修したワーケーションスペース『INNOVATION HOUSE RINC in KOTOBUKISO』をハブとし、東京や大阪の企業様をお繋ぎして、地方創生に寄与していきたいと思っています。
竹内:最後に、地方と仕事をする際に私が気を付けることを共有します。まず行政の方の手間をいかに省いて差し上げるか」を考えています。全員が全員そうではないんですが、行政の方には「何かやると仕事が増える」というようにマイナスに捉える方もいるので、その手間を省くことに努めています。
竹内:あとは地方で事業をする際には、関係性が非常に重要です。いろいろな立場の方とお話をする機会がありますが、その中でも「本物のキーマン」を探すことと「徹底的な地元中心」を意識しています。
例えば何か新しい開発をする場合、都心の方を南あわじ市にお連れするよりも、その機能を持っている会社が地元にあるならば、徹底的に地元の方と一緒にやる。そうすることで、より地元の方に本気度を感じていただきやすくなると思います。
竹内:あとは地域の顕在的な課題の先にある本当の課題、いわゆる潜在的な課題を見つめることによって、結果的に今現在の課題解決にも繋がると思いますので、出てきた情報を複合的に見ていく必要があると思っています。
Editor's Note
地方創生をリアルで実行しているからこその忖度なしのアイディアが満載。これからも南あわじ市の動向に注目です。
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香