ZENKOKU
全国
※本記事は、株式会社WHEREが主宰するローカルプロデューサー養成講座第5期のフィールドワークレポートです。
アナタがもっと知りたいと思う地域はありますか。
あるいは、もっと多くのひとに知ってほしいと思う場所ー。
もくもくと、ある場所が思い浮かんでいるのなら、アナタはもうローカルプロデューサーの入り口に立っているかもしれません。
地域に関わり始める第一歩は、「もっと知りたい」「魅力を誰かに届けたい」と思う気持ちです。今回受講を決めた5期生のみなさんも、それぞれ異なる想いを胸にこの講座へ集まりました。
「地域の観光に興味が湧いてきて」(大手旅行会社グループ企業、地域活性事業担当)
「地元に帰ってきて、もっと活気のあるまちにしたいと思ったから」(農家のあとつぎ)
「旅先で出会った魅力的なローカルに惚れ込んで」(フリーランスコンサルタント)
なかには地域おこし協力隊として、既に現場で活動している方もいます。バックグラウンドは違えど、「地域に関わりたい」という気持ちは同じです。
この想いを起点に、土地との向き合い方を全身で浴びるように学んだ濃密な2日間。その様子を、一緒に参加したコミュニティマネージャーの視点からレポートします。
8回のオンライン講義を受講し、満を持して迎えたフィールドワーク。
その舞台は、人口約5万6千人の香川県三豊市です。
清々しいほどよく晴れた空に、水面きらめく穏やかな瀬戸内海。めいっぱいの青を吸い込んで念願の対面を果たしたみなさんの、少し緊張した面持ちがフレッシュで印象的でした。

ここに至るまで、地域資本リサーチや、顧客調査、コンセプトの作り方など、毎度1時間半の講義で、講師陣への質問や壁打ちをみっちりやり合い、準備はばっちり。
まずは三豊で活躍する地域プレイヤーのプレゼンが始まります。
実践を何度も繰り返している先輩起業家から発せられるのは、肌感覚のあるリアルな言葉。
実際に事業を起こした土地で話を聞ける贅沢さを感じながら、ぐんぐん吸い込むように聞き入った、あっという間のプレゼンタイムでした。

座学だけではなく、商店街の視察も行いました。
自分たちの欲しいお店や居場所を徒歩圏内につくることでできた「身の丈商店街」。
身の丈商店街は、空き家を再生するだけでなく、地元住民やまちに興味のある方々が自分たちに合った規模で、暮らしの中で使いたい店や居場所を少しずつ増やしているのが特徴です。
視察中、「こんにちは」「いまフィールドワーク中で」「来月ここでお店をオープンする◯◯さんです」と、すれ違う地元の方々と挨拶する和やかな時間も。
受講生は、場をつくることが単に「お店や施設を増やすこと」ではなく、人と人の関係性を育むきっかけになることを、実際に自分の足で歩いて感じとりました。

この商店街のすぐそばには、「日本のウユニ塩湖」と呼び声が高い父母ヶ浜もあります。毎年約50万人が“映え写真”を撮りに来る一大観光スポットです。こちらへの散策を終え、ある問いに辿り着いた受講生さん。それは、観光客にもう一度訪れてもらう仕組みについてでした。
この問いに対し講師の方からは、
「100万人が1回ではなく、10万人が10回訪れてくるまちにしたいと思っているんです」
と未来をくっきり見据えた力強い言葉が。観光客ではなく、「関係人口*」を育てる考え方でした。
*関係人口…総務省では、『移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと』と定義されています。

この質問をされた受講生の方は、東京在住ながら、過去に訪れた広島県尾道市の、自然・文化と人々の暮らしが一体となった風景に心奪われ、今は移住も検討されています。まさしく観光を入り口に、土地の魅力に目覚めた方です。
まずは「訪れたい」という動機を生む、観光地としての魅力も大切。でもその先は…?
一度きりではなく、何度も訪れるなかでその土地と多様な関わりを生む重要性に触れました。
また講師からは、地域内外とコミュニケーションがとれる地域プレイヤーである「外向的ローカル」の存在について学びました。ひとと地域の関係を育てることも、地域で活躍するために必要な視点といえそうです。
「関わる」と一言に言っても、観光客か移住者かではその深度が違います。そしてこの極端な2つの選択肢だけではない、多様な繋がり方・関わり方を知る時間となりました。

では、何がきっかけで関係人口になってくれるのでしょうか。
その問いに実感として触れたのは、全国各地を愛車でまわりながら、コーチングを生業に活動中の受講生さん。特定の地域ではなく、さまざまな地域を訪れることに惹かれるこの方には、講義を受講するなかである悩みが。
「この講座での学びをどう活かすべきか、分からなくなることも正直ありました。自分が望む理想のスタイルではなく、特定の地域を見つけ出して、その地域の課題解決を優先すべきなのかなって」
しかし、地域に関わりながら活動する人々の話を聞くなかで、この方の視点は変化していきました。
「まちで活躍するひとたちの話を聞いて、地域に留まることで見えてくるひと、出会えるひとがいることに気づいたんです。例えば、父母ヶ浜で観光客の写真を撮っていたボランティアのおじいちゃんは、普段どんな暮らしをしているのかなと。もっと深く関わって話を聞いてみたい。
車を降りて、一定期間特定の地域に留まる。その土地に住む人たちと話してみる。そういう関わり方をしてみても良いかなと、新しい考えが芽生えました」
「この地域にもっと深く関わってみよう」
そう思わせるのは、きれいな景色や美味しい食べ物だけじゃありません。“ひと”が入り口になって地域に出会っていく。この受講生さんにとって、地域との関わり方に新しい選択肢が生まれた瞬間でした。
そしてこの変化は、決して一人で起きたものではありません。
実際に地域で活動する人の言葉に触れ、受講生同士で対話を重ねるなかで、「自分は地域とどう関わっていきたいのか」という問いが少しずつ形になっていきました。
後編では、この講座だからこそ生まれる仲間との繋がりや、ローカルに携わる魅力についてお伝えしていきます。

Editor's Note
昼食を食べてからの集合だったので、私を含め「うどんはもう食べましたか」がお決まりの挨拶でした。初対面のほやほやした空気も、新しい学びが次から次へと飛び出す集中講義であっという間に吹き飛び、父母ヶ浜ではこのジャンプ。(タイミングが合わないのもご愛嬌!)同じ時間を共有している心地良さが、フィールドワークの醍醐味だよなぁとひしひし感じた1日目でした。
HARUNA HASEGAWA
長谷川 陽菜