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LOCAL LETTER

1,000年先も東日本大震災が伝えられ続けるために、私たちが今できることとは

SEP. 05

MIYAGI

前略
東日本大震災に大きな影響を受けたあなたへ

一度生死を彷徨っているからだろうか、何事も「やらなきゃわからん」と思って行動している。その結果がどうなったとしても「まあいっか」と思えるくらい全力で勝負する。

1986年生まれの32歳。熊本県に生まれ愛知県で育ったという杉浦恵一さんは現在、東日本のことを考えるきっかけ作りとしてのキャンドルアートプロジェクト「ともしびプロジェクト」や co-ba kesennuma をはじめ、全国での講演、お寺の住職とのコラボ企画「坊主BAR」「他力本願寺」など、様々な分野で活動中。

左から3番目の男性:杉浦恵一さん
左から3番目の男性:杉浦恵一さん

前編では、東日本大震災をきっかけに被災地に移住し活動を続ける彼の原点についてをお届けしました。(前編はこちら)後編では海外からも多くの支援者を集めている「ともしびプロジェクト」を始めた経緯や想い、これからのビジョンに迫ります。

プロフィール
杉浦恵一(Sugiura Keiichi)氏
ともしびプロジェクト代表
高校卒業後、ヒッチハイクの旅に出たことから旅の面白さに魅了され、日本中を旅するようになる。2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後から震災復興に携わり、2011年に立ち上げたキャンドルアートプロジェクト「ともしびプロジェクト」の代表を努めている。

「忘れないをカタチに」するために

被災地の現状を目の当たりにした彼は、今まで感じたことのない感情を体感する。悲しみ、怒り、一周回って笑ってしまう。それはパニック寸前になるほどの衝撃だった。この瞬間、彼は自分に少しでもやれることがあるならやろうと決意を固める。(前編記載:こちら

最初にボランティアで入った福島県いわき市から、宮城県気仙沼市に訪れたのは、24歳で日本一周をしてた時に秋田で知り合った人たちが、気仙沼で支援活動をしていたから。ここでは現地のニーズに対して外からボランティアを集める、民間のボランティアセンターの役割を担っていた。

当時は仮設住宅も建ち始め多くの募金団体が立ち上がる中で、きちんと被災地に募金が届かないという噂が流れていた。何かしたいけれど何をしたらいいのか、何をしたら被災地の方の力になれるのか。選択肢が多すぎるために想いがあっても消化させる場所がわからず、消化不良を起こしている感覚。

一方で被災者の方が一番懸念していたことは、少しずつ東日本大震災のことが忘れられていってしまうこと。物資が欲しいという想い以上に「忘れられたくない」と誰もが思っていた。

そんな両者の想いを知った彼は「東日本大震災が忘れられないようにできること」を模索し始める。そして彼は偶然にも岩手県石巻市で行われたキャンドルイベントに参加し、改めてキャンドルのともしびに心を打たれる体験をするのだった。

誰のためにキャンドルに火を灯すのか?

震災発生直後は停電の多かった被災地。結婚式の引き出物や誕生日プレゼントでもらったものの、使わずに押入れで眠っていたキャンドルやロウソクを引っ張り出し、家族全員が一つの明かりにぎゅっと集まり、夜を越す。地域の方から「キャンドルの明かりを見るだけで、なんとも言えないあたたかい気持ちになった」という話を聞いた時、その明かりは「希望」だと思った。

本格的にプロジェクトが始まったのは2011年11月11日。毎月11日に「キャンドル」に明りを灯し「Facebook」を使って配信することで、各地から東北のことを考えるキッカケづくりをつくる「ともしびプロジェクト」を始める。

誰があんなにも大きな地震や津波が東日本を襲うことを予想していただろうか。自然災害はどこでも誰にでも起こる可能性がある。けれど何故か人は「自分には起こらない」そう思っている人が多い。だからこそ、今こうして過ごしている時間が当たり前ではない、尊いものだと気づいている人は少ない。

ともしびプロジェクトのキャンドルは、一体誰のために灯すのだろうか。きっとそれは「今を生きている自分のため」なんだと思う。亡き人を思って灯すともしびを通じて、自分の命と向き合う時間を作っているのだと思う。

いつ何が起こってもおかしくないからこそ、自分のかけがえのない命をあなたはどう使うだろうか。

1,000年後も灯る「希望の明かり」

東日本大震災は「1,000年に一度の震災」と言われている。だから1,000年経っても東日本大震災のことを忘れられないために「ともしびプロジェクト」も1,000年先まで灯りを灯していきたい。

3月11日には灯りを灯すことで人が集まり、話が生まれ、東日本大震災を伝えることができたらいいなと思っている。ともしびプロジェクトから東日本大震災が語り継がれ、一人でも多くの人が震災の被害から回避できたら嬉しい。

今、1,000年先に続く何かをつくろうと思っている人はそう多くはいないだろう。1,000年続けるためにはそこに「感動」が必要不可欠だと思う。今までも過去の震災を伝えるための資料や石碑は数多く存在していた。しかし一体どれだけの人が、資料や石碑に書いてある内容を熟読しているだろうか?

より多くの人に東日本大震災のことを伝えていくためには、自ら東日本大震災について知りたいと思ってもらう必要がある。だからこそ何百年、何千年先も行われるような感動のあるプロジェクトをつくりたいのだ。

9月28日には「ともしびプロジェクト」を一緒に盛り上げてくれる仲間を募集するとのこと。詳細はこちらをご覧ください。

草々

ともしびプロジェクト「これまでと、これから」東京報告会!

東日本大震災をキッカケに2011年11月に誕生したともしびプロジェクト。1,000年伝え続けていくために、これまでの活動から、これからの展開を発表する場をつくります!名前は聞いたことあるけど気になる、活動を知りたい、興味があるなど、どなたでも参加可能です。

-日時:9月28日19:30 ~ 23:00
-参加費:4,000円(食事、飲み放題付)

▽イベントの詳細・お申し込みはこちら
https://www.facebook.com/events/971248609725992/

▽ともしびプロジェクトホームページ
http://tomoshibi311.com/

Editor's Note

編集後記

「自分がどれだけ長く生きるかはわからない。でもその時その瞬間、自分のやっていることが結果に結びつかなかったとしても、自分のやっていることをやっているからいい」と話す彼は、とにかく楽しそう。彼はいつだってとにかく物事が楽しくなるように行動する。一度きりのかけがえのない自分の命。生死を彷徨い、数々の苦難に出会いながらもいつも誰かと乗り越えてきた彼。

2014年には女性が働ける場所づくりのために気仙沼市にキャンドル工場をオープン。キャンドルをつくり、販売する場所を設けることで雇用の創出も行っている。今後、さらに活躍の場を広げていく彼に目が離せません。

これからもふるさとの応援をお願いします。

これからもふるさとの応援をお願いします。

これからもふるさとの応援をお願いします。

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