移住
「いつか定年を迎えたら、都市部を離れ、大自然に囲まれて暮らしたい」
「やりたかったことを地方で叶えるため、早期退職を考えている」
そんなアナタにお届けするのは、県南地域移住定住相談所ラクラスしらかわが行った、「50代・60代歓迎! 経験者に学ぶ 地方移住のはじめ方」と題して行ったこちらのイベント。
白河市・西郷村を中心とした福島県南地域で移住サポートを行なっているメンバーと、実際に移住されたメンバーが登壇!
50、60代の移住先として多く選ばれている福島県南地域から学ぶ、地方移住の始め方に迫りますーー。
金澤:本日ファシリテーターを務める金澤拓哉です。早速ゲストの方々に自己紹介をお願いします。
小西:2022年6月に福島県白河市に移住した小西です。両親の実家が秋田なので東北には馴染みがありましたが、その中でも福島県は特に気に入っており、毎年観光に訪れていた場所で、移住先は「雪が降らない場所」を望んでいたので、ギリギリ雪が降らない白河市を選びました。
小西:福島へ移住した目的の1つに「定年後の農業」がありました。農業にIOTデバイスを取り入れ、労力を軽減して収穫を上げることに貢献できれば、自分が地方に移住してくる価値が見出せるのかなって。
現在は空き家バンクで購入した家をセルフリノベーションしています。大工仕事は未経験ですが、3級自動車整備士の資格も持っているので、「Do It Yourself」ではなく「どうなってもいいからやってみよう」のDIYですね(笑)。
米田:福島県いわき市出身の米田です。私は65歳で、主人は70代。移住は漠然と若い頃から考えていましたが、都会に憧れて仕事と子育てをしていました。定年を迎える段階になって、私が大病をし、1年間の休職。マンションから1歩も出られない生活の中で、小さい頃に過ごした田舎が恋しく、土のあるところに住みたいと思うようになりました。
東日本大震災当時、主人は宮城の方にボランティアに行っていましたが、私は仕事に追われて何も貢献できなかったことを悔やんでいて。出身地であった福島県に対して何か出来ることはないかと考えていたときに、従兄弟たち含めて全員が東京に出てしまっていたので、「みんなの帰れる家を私がつくろう」と思ったんです。
米田:白河市・西郷村を選んだのは、西郷村の台上(だいじょう)道路にある桜並木がとても綺麗で、私の田舎暮らしのイメージにぴったりだったから。
住まいを探すために現地へ何回も行くのは大変なので、思い切って西郷村にアパートを借り、地元の不動産屋さんや空き家バンクにもお世話になりながら、西郷村や白河近辺で家探しをスタートさせました。2022年6月に自分の希望物件を購入して、現在リフォーム中です。
東京で住んでいた時は、近隣住民の方との交流はほぼありませんでしたが、西郷村に引っ越してからはお茶飲みなどの近所付き合いも増え、野菜や果物を頂くこともあります。
ご近所には15〜6年前に埼玉県から移住してきた方や、千葉県と西郷村の二拠点生活者といったユニークな方たちが多く、日々楽しませてもらっています。移住して本当によかったですね。
金澤:ありがとうございました。最後に地域で移住者をサポートをされている上田秀人さんにお話をお願いします。
上田:白河市・西郷村で生まれ育ってもうすぐ62年の上田です。62年住んで飽きないんだから、西郷村はいいところですよね(笑)。長年地元の農協に勤めていましたが、31年前から自分でも農業を始め、今は長芋と、かすみ草をつくっています。
上田:実は、20代の頃は村から出たくてしょうがなかったんです。僕は末っ子の長男なので、地元に残らざるを得なかったというのが正直なところですが、立場が違えば、皆さんと一緒にそちら側で参加していたかもしれません(笑)。
今は、いろんな方に西郷村の良さを知ってもらいたいと思って、「西郷探検隊」という農業体験を行っています。ハロウィーンの時には、収穫したかぼちゃからジャック・オ・ランタンをつくりました。
金澤(司会):ここからは、登壇者の皆様に質問をし「移住の決め手になった部分」を深掘りしていきます。
小西(農業移住):現在も東京の本社に勤務していますが、テレワークが実現し、住むところを制限しないルールができました。本当だったら60歳すぎて定年を迎えた後に第2の人生を迎えるんですが、社内の人事に話をして、テレワークをしながら移住できる環境を探しました。
移住の決め手になったのは、1時間10分で東京に行けること。東北新幹線が新白河駅から出ているので、在来線を使って首都圏から通うのと変わりがないんですよ。コロナを逆手に取った移住になりましたね。
金澤(司会):米田さんは福島県いわき市のご出身ですけど、白河市・西郷村の魅力に惹かれたということでしょうか。
米田(Uターン):私も小西さんと同じで、新幹線が決め手でしたね。ふたりの子どもが東京で所帯を持っているので、その子たちにとっても「帰れる場所」にと考えた時に、新幹線で1時間10分で来れる、東北道を走ってもそう時間はかからない点は魅力的でした。
金澤(司会):上田さんは、今まで移住に関わってきた人たちから、福島に移住することに決めた理由などは伺っていますか?
上田(地元サポーター):大半の方が「自然が豊かなところがいい」と言ってますね。あとは、自然にメリハリがあるところかな。夏はそれなりに暑いし、冬はマイナス10℃くらいになりますが、だからこそ「ここの自然がとても好きになった」とよく聞きます。
金澤(司会):自然の魅力に触れながら生活ができることと、今までの人生で関わってきた人と、これからの人生で関わる人との繋がりにも満足したから、移住を決断されたということなのでしょうね。
Editor's Note
首都圏からも近く、自然あふれる福島県県南地域は、今後地方移住や二拠点生活を考える人にとっては注目しておきたいエリア。ゲストの移住者の皆さんが十分時間をかけて準備したからこそ、満足できる地方移住に繋がったことがわかります。地方移住の理由、目的をしっかり持つことが成功のポイントですね。
KAYOKO KAWASE
河瀬 佳代子