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LOCAL LETTER

官民の知見を活かし合えば、進んでいく。「行政人事戦略の変革。外部人材の登用最前線!」(前編)

JUN. 25

JAPAN

前略、外部人材を活用して、組織をアップデートしながら行政施策を加速させたいアナタへ

「個人、地域の枠を超えて、地域経済を動かすシーンをともに創る。」という思いを掲げ、あらゆる業界、地域を超えた地域経済活性化カンファレンス「SHERE by WHERE」。いつの時代も地域のヒト・モノ・コトをよりよくするために奮闘する人たちの存在は欠かせません。

第2回目の「SHARE by WHERE」も、完全オンラインにて、日本各地30箇所以上の地域から、第一線で活躍する方々が70名以上集まりました。

中でも本記事では、「行政における外部人材の登用」について、小紫 雅史氏(奈良県生駒市 市長)、加藤 年紀氏(株式会社ホルグ代表取締役/生駒市役所職員)、多名部 重則氏(神戸市 広報戦略部長兼広報官)、蒲原 大輔氏(サイボウズ株式会社)のトークをお届けします。

行政組織に専門性を持った外部人材を積極的に採用し、彼らのスキルを地域課題へ活かすことで、行政にどのような効果や変化をもたらすのでしょうか

公務員の常識に囚われない人材が入る価値

蒲原氏(モデレーター:以下、敬称略)サイボウズ株式会社の蒲原と申します。私自身、元々自治体の職員をしていました。2011年に品川区役所に入区しまして、約5年半程、人事と産業振興の仕事をした後、ITという観点から自治体業務の効率化を目指し、2016年に現職のサイボウズに転職しました。2018年には鎌倉市役所に「働き方改革フェロー」として、外部人材という立場で派遣していただいています。ITで効率化しても、役所を変革するためには人事や風土が欠かせないということで、地方公務員カタリスト事業を副業で行なっています。

本セッションは「外部人材登用」がテーマ。「もっといい役所をつくっていこうぜ!」を目指した活発なセッションにしたいと思います。早速、登壇者のみなさまにそれぞれ自己紹介をお願いします。

写真右上> 蒲原 大輔(Daisuke Kanbara) 株式会社サイボウズ /  2011年、品川区役所に入庁。約5年半、人事、産業振興の業務に従事。2016年にサイボウズ株式会社に転職。2018年には外部人材として鎌倉市役所の「働き方改革フェロー」として派遣。副業として2020年「地方公務員カタリスト」事業をスタート。
写真右上> 蒲原 大輔(Daisuke Kanbara)氏 株式会社サイボウズ /  2011年、品川区役所に入庁。約5年半、人事、産業振興の業務に従事。2016年にサイボウズ株式会社に転職。2018年には外部人材として鎌倉市役所の「働き方改革フェロー」として派遣。副業として2020年「地方公務員カタリスト」事業をスタート。

小紫氏(以下、敬称略)今回は「行政人事の戦略」ということで、素晴らしいゲストの方たちとご一緒できることを嬉しく思っています。特に、神戸市役所の取り組みは複業の促進とか、今のデジタル化とかICT活用など参考にさせていただいているところがありまして、今日は「登壇者の皆さんからちゃんといろいろ勉強してきてほしい」と、役所内からも言われてきております(笑)。

写真左下> 小紫 雅史(Masashi Komurasaki)奈良県生駒市 市長 / 1997年環境庁(現 環境省)入省。2003年、シラキュース大学(米国)マックスウェル行政大学院を卒業し、3年間、外交官として米国ワシントンDCの日本国大使館に勤務。2011年、全国公募により生駒市副市長に就任。2015年、生駒市長に就任。人事最優先の方針で採用改革に着手し、受験者数を約4倍に増加させたほか、全国でも珍しい公務員の副業促進制度を導入。市民と行政が共に汗をかく「自治体3.0」のまちづくりを提唱・推進して全国から注目を集めている。
写真左下> 小紫 雅史(Masashi Komurasaki)氏 奈良県生駒市 市長 / 1997年環境庁(現 環境省)入省。2003年、シラキュース大学(米国)マックスウェル行政大学院を卒業し、3年間、外交官として米国ワシントンDCの日本国大使館に勤務。2011年、全国公募により生駒市副市長に就任。2015年、生駒市長に就任。人事最優先の方針で採用改革に着手し、受験者数を約4倍に増加させたほか、全国でも珍しい公務員の副業促進制度を導入。市民と行政が共に汗をかく「自治体3.0」のまちづくりを提唱・推進して全国から注目を集めている。

加藤氏(以下、敬称略)ホルグの加藤と申します。地方公務員を応援する人としていますが、影では「地方公務員オタク」と呼ばれています(笑)。元々はLIFULLという会社に入社し、インドネシアに駐在した際に「日本の公務員って頑張っているんじゃないか」と感じて、地方公務員として活躍する人を取材したり、表彰したり、公務員コミュニティをつくったりしています。

これまで外から地方公務員を応援してきたことを、今度は中からやっていきたいということで、令和2年からは生駒市の職員となりました。生駒市では、主に人事の仕事をしていて、「人事がより良くなれば、成果を出すことができて、世の中がよくなるのでは」と思って活動しています。

写真右上2番目> 加藤 年紀(Toshiki Katou) 株式会社ホルグ代表取締役、生駒市役所職員 /  2007年、株式会社LIFULLに新卒入社。2016年に独立し、株式会社ホルグを設立。地方自治体を応援するメディア『Heroes of Local Government』(2016年〜)、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード』(2017年〜)を主宰、また地方公務員限定の有料コミュニティ『地方公務員オンラインサロン』(2019年〜)を運営。2020年から、生駒市役所職員として主に人事業務を担当している。
写真右上2番目> 加藤 年紀(Toshiki Katou)氏 株式会社ホルグ代表取締役、生駒市役所職員 /  2007年、株式会社LIFULLに新卒入社。2016年に独立し、株式会社ホルグを設立。地方自治体を応援するメディア『Heroes of Local Government』(2016年〜)、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード』(2017年〜)を主宰、また地方公務員限定の有料コミュニティ『地方公務員オンラインサロン』(2019年〜)を運営。2020年から、生駒市役所職員として主に人事業務を担当している。

多名部氏(以下、敬称略):私は大学卒業後から神戸市役所に入り今に至っています。2015年に神戸市でイノベーション施策を突如としてはじめました。2016年には「こんなことができたら面白いんじゃないか」と思い立ち、米国のベンチャーキャピタルと一緒に起業家育成をはじめまた形です。

イノベーション施策の一環として、ルワンダ共和国との経済交流をスタートさせたり、アーバンイノベーション神戸を立ち上げたり、国連の世界3番目のイノベーション拠点の誘致も行ったりしましたね。昨年から、広報戦略部に異動になりまして、「広報部ももっと外部の力を借りるべきじゃないか」ということで、副業人材40人の採用なども実施しています。

写真右下> 多名部 重則(Shigenori Tanabe) 神戸市広報戦略部長兼広報官 / 1997年神戸市採用。 2015年にスタートアップ育成を軸にしたイノベーション施策を立ち上げる。米国シリコンバレーの世界的に著名なシード投資ファンド「500 Startups」をパートナーに迎えたスタートアップ育成プログラムの開催、国内初のスタートアップと行政が共同開発を進めるプロジェクト「Urban Innovation JAPAN」、さらにUNOPS(国連プロジェクトサービス機関)のアジア初イノベーション拠点の神戸誘致をリードした。2016年からアフリカ・ルワンダ共和国とのICT分野を中心とした連携・交流事業も企画・推進している。
写真右下> 多名部 重則(Shigenori Tanabe) 神戸市広報戦略部長兼広報官 / 1997年神戸市採用。 2015年にスタートアップ育成を軸にしたイノベーション施策を立ち上げる。米国シリコンバレーの世界的に著名なシード投資ファンド「500 Startups」をパートナーに迎えたスタートアップ育成プログラムの開催、国内初のスタートアップと行政が共同開発を進めるプロジェクト「Urban Innovation JAPAN」、さらにUNOPS(国連プロジェクトサービス機関)のアジア初イノベーション拠点の神戸誘致をリードした。2016年からアフリカ・ルワンダ共和国とのICT分野を中心とした連携・交流事業も企画・推進している。

蒲原本日は豪華3名のゲストをお迎えして、お送りさせていただきます。セッションは、「外部人材登用」が中核にありますので、先ずは生駒市、神戸市の取り組みをご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

小紫生駒市の外部人材の採用は、2008(平成20)年から始まっています。私が2011(平成23)年に副市長として生駒市に来たときに、「民間企業と比べて採用の熱意がまだまだ少ない」という大きな課題感があり、着任早々に取り組んだ採用改革が最初のプロジェクトです。

そもそも、国家公務員試験のあとに市町村試験があるのって不条理だなと思っていまして(笑)。国家公務員よりも先に4月から採用をスタートするなどの取り組みをしました。実際に取り組みを進めていく中で、倍率が高くなり、良い人材に巡り合うことができるようになった一方、もっとイノベーティブなことや新しい発想ができる人材も重要であり、そういった人材を新卒で採用するのは難しいという課題感も見えてくるようになりました。

写真左下> 小紫 雅史(Masashi Komurasaki)奈良県生駒市 市長 / 1997年環境庁(現 環境省)入省。2003年、シラキュース大学(米国)マックスウェル行政大学院を卒業し、3年間、外交官として米国ワシントンDCの日本国大使館に勤務。2011年、全国公募により生駒市副市長に就任。2015年、生駒市長に就任。人事最優先の方針で採用改革に着手し、受験者数を約4倍に増加させたほか、全国でも珍しい公務員の副業促進制度を導入。市民と行政が共に汗をかく「自治体3.0」のまちづくりを提唱・推進して全国から注目を集めている。
写真左下> 小紫 雅史(Masashi Komurasaki)奈良県生駒市 市長 / 1997年環境庁(現 環境省)入省。2003年、シラキュース大学(米国)マックスウェル行政大学院を卒業し、3年間、外交官として米国ワシントンDCの日本国大使館に勤務。2011年、全国公募により生駒市副市長に就任。2015年、生駒市長に就任。人事最優先の方針で採用改革に着手し、受験者数を約4倍に増加させたほか、全国でも珍しい公務員の副業促進制度を導入。市民と行政が共に汗をかく「自治体3.0」のまちづくりを提唱・推進して全国から注目を集めている。

小紫:採用戦略自体は上手くいっていましたが、ブレークスルーしなければ頭打ちになると思い、プロフェッショナル人材の採用を導入したんです。プロフェッショナル人材の採用は、市役所でフルタイムで働くことが前提の採用をやめて、テレワークや兼業といった働き方を柔軟化させることで、役所で働くことのハードルを下げ、トップ人材が生駒市で働いてもらえるようにしようという形で始めました。

結果的に、7分野の募集で1025名が応募してくれて、常勤3名、非常勤6名を採用しています。コロナ禍ではありますが、プロフェッショナル人材の皆さんは、この1年だけでも大きな成果を出してくださっています。

ボロボロの採用1.0から、改革して公務員の世界では最先端になった2.0、プロフェッショナル人材という新しい採用にチャレンジした採用3.0という感じですね。

蒲原関西トップクラスのエントリー数があるにもかかわらず、なぜ外部人材採用をされているのか疑問がありましたが、イノベーションを起こす人材を採用するために3.0に移行したという感じですね。

小紫:公務員の常識に捉われない人材が、公務員の世界に来ないと地方創生は難しいなと思ったんですよね。新規採用職員について自治体は偏重している気がするんです。そこをバランスよく採用のやり方も働き方も多様化していくことが必要なのではないでしょうか。

プロパー人材とプロ人材の役割を理解する。

加藤私は、会計年度任用職員の非常勤で採用されています。働いている時間は週1日で8時間でしたが、今は週4時間で月20時間働く形に落ち着きました。基本はテレワークで、生駒市役所に行ったのは1回だけですね。コロナ禍でなくても、あまり行ってなかったんじゃないかと思います。

蒲原加藤さんは、生駒市にどのような期待を感じていらっしゃいましたか。

加藤生駒市は、働くモチベーションみたいなものが意識されていると思っています。職員がモチベーションを上げて成果を出すことに重点を置いている。生駒市の人材育成基本方針にもモチベーションを謳っていて、それ自体、目の付け所が早いなと思っていました。役場の外からきて、外の目線で発言することが僕の役割だったのではないかなと思っています。

蒲原:多名部さんは、これまで数多くの外部人材登用の実績があると思いますが、その歴史を教えてください。

多名部神戸市役所で外部人材として採用した方は、全体で40名以上いるんですが、歴史を振り返ると、かつて神戸市役所は、人事においては閉鎖的な役所でした。1995年以前は、中央官庁からも人材がきていない状況で。背景としては、当時六甲アイランドをつくったりして公共デベロッパーとして成功していましたし、自分たちでできるというプライドがあったんだと思います。

人事が変わった大きな転機は、現在の久元市長が就任した後。2013年に神戸市役所の閉鎖的な人事に着目して、問題提起したことから始まり、外部人材登用が進んでいきました。

多名部そのほかにも2015年に、スタートアップの新しい施策を始めようという動きがあって。役所の仕事のありかた、市民とのインターフェイスがデジタルによって大きく変わるぞという時代になったときに、外部のIT起業家の力を借りようとしたわけです。とはいえ、ITに強くない役所職員だけでは難しいと思い、イノベーション専門官として吉永隆之さんという方を外部人材として役所で採用したんです。元々優秀な方でしたが、役所にも馴染んで、幹部からの信頼も厚くなっていく様子がすぐにわかりました。

この吉永さんの一件を機に、新しい施策をやる上で、外からの人材は必要だと痛感し、5年間で、7名を採用。私が広報戦略部に異動してからは、広報は明らかに民間の方が進んでいる業界・領域だと思っていましたし、コロナ禍ということもあり、オンラインの副業ができるなと踏んで、広報業務で40人の外部人材登用を行なっています。ここまでが私が関わった外部人材の活用の歴史ですね。

営業の観点を持つこと。お互いの得意不得意を認識し、役割分担を明確にする。

蒲原冒頭で40名の副業人材の採用があったとおっしゃいましたが、成功モデルがあったから(採用が)できた感じなのでしょうか?

多名部ヤフーが副業人材を100名募集するというニュースが出たときに、市長から「広報業務で副業人材の活用って考えられるだろうか?」と話があったんです。ボトムアップで考えて、40名ならいけるということが見えて、現場とトップが一致した瞬間があったので、大胆にいけたと思いますね。

小紫プロパー職員として多名部さんのような人がおられたのも、神戸市の底力を感じますね。面白いとか、できると思ってくれるプロパー職員が何人いるかというのは、重要なポイントなのではないでしょうか。

10年弱くらい生駒市で外部人材採用をやっている中で、新しいことを考えるときに(職員から意見が)出てくるようになったんです。プロパーの人たちの底力がある程度ないと、プロフェッショナル人材をいきなり採用しても上手くいかないのではと感じています。

蒲原外部人材の方は、今までのやり方を変えることを期待されて、役所に入っていると思うので、「前例踏襲を変えよう」というメッセージングをされることが多いのかと思います。その一方で、外部からきた人の発言には反発が起こってしまうということも珍しくないと思うのですが、具体的に内部を変えながら上手くやる方法ははなんでしょうか。

加藤:営業の観点を持ち込むことがいいと思っています。僕自身も役所の中に入ってみて気づいたことですが、何か物事を進めていく時に、どう動かしていくかを突き詰めて考えている人が役所内にはあまり多くないんです。

誰から話しをしてもらえば通るとか、どういう話の内容、どういう話し方だったら通るかを知り、順序立てて進めていくことが大事だと思います。役所には役所の正義がありますし、持っている知見があるので。

加藤:僕の場合は、自分が好き勝手言わせてもらうこともありますが、じゃあそれをどう実現していくかという部分については、人事側の職員が力を発揮してくれるんですよ。僕は生駒市の組織内部の状況や人事に関係する条例を詳しく知っているわけじゃないので、言ったことが実現できないこともあるけど、どうしたら現実をつくっていけるかを考えてもらうのは役所の職員さんたちで、あくまでも外部人材は長期的な、ビジョナリーな、話をしていく役所の職員は、目の前の現実的な法令に則って処理をしていくと、役割分担を正しく理解しておくことが大事だと思います。

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Editor's Note

編集後記

人材採用における先進的な取り組みをしてきた方たちの話をそれぞれ聞いていて感じたのは、「行政って面白い」ということでした。民間であるとか行政であるという垣根を越え、それぞれに足りないところを補完し合うことで、より前向きに施策が進行していけるということを教えられました。

乗り越えていくべきことは多々あるものの、役割を理解してできることをまずはやってみるという姿勢は、どんな人材にとっても前向きに取り組める、モチベーションの高まる姿勢だと思いました。

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