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LOCAL LETTER

ごみを減らし利益を生み出す。サステナブルとビジネスの両立と可能性

JAN. 16

JAPAN

拝啓、ビジネスの社会的インパクトと経済的インパクトの両立について考えたいアナタへ

※本レポートはシェアリングエコノミー協会主催のイベント「SHARE WEEK 2023」で行われたトークセッション「世界を変えるサステナブルビジネスの新潮流~社会起業家の戦略~」を記事にしています。

近年、ビジネスの世界でも「サステナブル」という言葉が使われるようになって久しいですが、企業・個人問わず「環境に良いこと」と「経済的な利益を生み出すこと」の両立に頭を悩ませることも少なくないのではないでしょうか。

実際にその両立を実践する登壇者らが、ファッション産業におけるサステナブルビジネスについて語っています。

前編記事では、ファッション産業でサステナブルな取り組みを実践する2社の具体的な取り組みの紹介や、業界の現状についてのお話がありました。

後編記事では、登壇者らが考える「サステナブルとビジネスを両立させる上での重要なポイント」などをお届けします。

環境負荷もコストも削減する。アパレル産業のサステナブルを考える上でのポイントとは

川崎氏(以下敬称略):今回のテーマの「アパレルファッション産業におけるこれからのサステナブルビジネス」というところで、僕が考える重要だと思う3つのポイントをまとめてみました。

川崎 和也氏 Synflux株式会社 代表取締役CEO / スペキュラティヴ・ファッションデザイナー。専門は、デザインリサーチとファッションデザインの実践的研究。 主な受賞に、第41回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞、H&M財団グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Wired Creative Hack Awardなど。
川崎 和也氏 Synflux株式会社 代表取締役CEO / スペキュラティヴ・ファッションデザイナー。専門は、デザインリサーチとファッションデザインの実践的研究。 主な受賞に、第41回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞、H&M財団グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Wired Creative Hack Awardなど。

川崎:1つは、ビジネスの観点。これまで独占や競争が重要とされてきましたが、私たちは型紙設計図などの服づくり全てに共通するメディアを扱っていますので、色々なブランドと協業できるプラットフォーム型のビジネスになっています。

これからは独占的なことよりも、アライアンスや同盟関係、プラットフォーム型のビジネスというのがサステナブルなファッションに必要になってくると考えています。

川崎:2つ目はテクノロジーの観点。AIや3D技術等のディープテックの可能性は凄まじい状況になっていますが、アパレル業界ではテクノロジーの応用が遅れてしまっているのが現状です。できるだけ循環型でごみを減らす取り組みにテクノロジーを応用していくことが非常に重要だと思っています。

3つ目はデザインです。モノの価値を提示しない限り、いくら環境にいいからと言っても人に伝わるものにはならないと思っています。デザインによって付加価値を付けていくようなサービスやビジネスをつくることを非常に重要視しています。

問題解決をしていく中で、ごみの量は減ったけどその反面コストが上がってしまったり、どうしても消費者に負担を与えてしまったりと、負の側面も出てきていると思います。そうではない形で、大量生産から最適化生産の移行を遂げるための新しいものづくりのあり方が求められている。その観点から、デザインが非常にキーワードになってくると考えています。

南氏(モデレーター、以下敬称略):アパレル業界は世界で2番目にCO2の排出量が多いというのはびっくりする数値だなと思いました。地球上のほとんどの人間にとって洋服は切っても切れない領域だと思いますが、そこまで大きなインパクトだとは。

南 章行氏 株式会社ココナラ取締役会長 / 住友銀行(現三井住友銀行)に入行後、2004年に企業買収ファンドのアドバンテッジパートナーズに転職。2009年には英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)を修了。帰国後、NPO法人ブラストビートの設立や、NPO法人二枚目の名刺に参加。2011年に株式会社ウェルセルフ(現株式会社ココナラ)を設立し現職。
南 章行氏 株式会社ココナラ取締役会長 / 住友銀行(現三井住友銀行)に入行後、2004年に企業買収ファンドのアドバンテッジパートナーズに転職。2009年には英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)を修了。帰国後、NPO法人ブラストビートの設立や、NPO法人二枚目の名刺に参加。2011年に株式会社ウェルセルフ(現株式会社ココナラ)を設立し現職。

川崎:洋服はほとんどの人が使うものであり、世界的に見ると人口増加の流れもあるため、アパレル市場も拡大しています。それら多くの素材に石油由来のものが使われていて、大部分が廃棄されてしまっている現状がある中で、業界としては大きな環境負荷に繋がってしまっているんです。

その問題になかなか着手できていない原因の1つに、ものづくりのあり方が200年くらい変わっていないことがあると思っています。近代化・産業化と共にデザインのあり方や製造のあり方が定着し、大量生産が当たり前にできるようになった経緯がありますが、なかなかそこから変わっていかないというところに対して、新しいデジタル技術でなんとか変えていきたいと思っています。

南:おそらく世の中には、リサイクルや素材を変えるなどをして布をつくる際にCO2排出量を減らしていこうと活動されている方も多くいらっしゃると思いますが、御社の場合は生産された布を無駄にしないようなデザインをつくるところに特徴があるんですね。

川崎:そうですね。原材料や素材の製造で環境負荷を減らしていく取り組みは色々と出てきています。ですが、私たちは次の段階である設計や製造、デザインやプロダクションの段階でできるだけ廃棄を抑えていくことで、環境的な負荷を減らすだけではなく原材料の削減にも繋がるというところがポイントだと思っています。

南:「CO2が削減され、企業側からしてもコストが下がる」というのはビジネス的にも筋が通っているというか、やらない理由がなく聞こえる気がします。企業さんにこのような世界観をお伝えするとやはり反応は良いのでしょうか。

川崎:国内のファッションブランドから海外の企業まで、我々の取り組みが認知拡大してきまして、問い合わせもたくさんいただくようになりました。

環境負荷を減らすとどうしても高価になったり、アクションを消費者に強いてしまったりと負担が増えてしまうため、環境負荷をどう減らすかについては企業さんも四苦八苦してるところだと思います。そのため、普段の設計プロセスでごみを減らせる点と、コストも同時に減らせるという点でメリットを感じていただく企業さんは増えてきていると感じています。

「社会的インパクト」と「経済的インパクト」、そのどちらも追求していくビジネスのあり方

南:「社会のためにいいことをやる」というソーシャルインパクトと、一方で「企業としての経済的なインパクトを出す」というビジネスインパクト。この両立は大きなテーマではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川崎:僕らはいわゆる学生から卒業してスタートアップで立ち上げた会社なので、最初はやはり「絶対に社会的なインパクトを創出できるだろう」と意気込んでいました。人は絶対1着は洋服を着るわけなので世界人口の数だけ服があります。しかもAIや3D技術は今後革新するのは明確なので、相当なインパクトになるだろうと。

そこから5年ほど会社を経営する中で、ビジネスのインパクトとどう調整を図るかという部分をまさにずっとやってきた感覚です。

川崎:僕らはAIや3D技術には詳しいけれど、アパレルの実際の製造や、現場でどのようなことが行われているか、洋服1着あたりの原価の計算についてなどは、学びながらビジネスを設計してきました。これはパートナーの企業さん、クライアントとなる企業さんと一緒にやらせていただいた経験が大きかったと思っています。

逆にそれがなければ、僕らが言っているようなことは絵に描いた道というか、社会的インパクトを語っているだけになってしまっていたなと思います。まさに今、その両立の方法論を確立しているところではありますが、とても重要なことであると実感しています。

川野:我々の例で言うと、正直回収したモノをそのまま海外に送ってしまうのが一番儲かるやり方なんですよね。だからみんなそのようにしているのですが、結局現地でごみが出てしまうだけなので、僕らはやらない決断をしました。当時は利益率もかなり下がりました。

川野 輝之氏 株式会社ecommit 代表取締役CEO / 高校卒業後に中古品輸出企業に就職し、4年間の修業期間を経て22歳でECOMMITを創業。創業後、中国に輸出された日本の電子ごみによる環境負荷を目の当たりにし、トレースできない中古品の海外輸出を一切停止し、環境問題に改めて向き合う。現在は、自社開発システムを主軸に企業や自治体のサーキュラーエコノミー推進事業を全国に展開する。
川野 輝之氏 株式会社ecommit 代表取締役CEO / 高校卒業後に中古品輸出企業に就職し、4年間の修業期間を経て22歳でECOMMITを創業。創業後、中国に輸出された日本の電子ごみによる環境負荷を目の当たりにし、トレースできない中古品の海外輸出を一切停止し、環境問題に改めて向き合う。現在は、自社開発システムを主軸に企業や自治体のサーキュラーエコノミー推進事業を全国に展開する。

川野:振り返ってみると、その決断があったからこそ、その中でどのように経済性を追い求めるかを徹底的に研ぎ澄ましていったからこそ今の会社があると思っています。

他と同じことやっていたらきっと今でも埋もれているままだと思いますし、時代の流れがついてきた結果ではありますが、しっかり他と違いをつくれたところは大きかったなと思います。

同時にお客様も儲かるようにすることも大前提で大事だと思っています。「回収拠点を置いたら儲かること」「環境活動はお金になること」「我々の原料を使えば売れる商品がつくれること」など含めて、お客様のニーズを徹底的に深堀り、実績を出してきた。ありきたりな話ではありますが、ここがカギだったかと思います。

企業から消費者へ意識の変革を。これからの時代を牽引していくサステナブルビジネス

南:世の中の変化も事業活動の後押しになっているのではないかと思いますが、時代の変化についてお二人の感覚を教えてください。

川野:時代の変化はかなり感じています。消費者も変わってきていますよね。一方で、日本ではまだまだ行動できていない方が圧倒的に多いとのデータも出ています。徐々に変わってはきているけれど、特に欧米からするとかなり遅れているという意識も持っています。

ただ、様々なところから取っているデータを見ていると、使われる素材の中身が変わってきていたりと、だんだん環境に配慮したものづくりの仕方にシフトしてきていることを感じています。

川崎:サステナビリティ、SDGs、ESG。そういったキーワードが世の中的にも流行っていて、企業から消費者に意識の変革が起きているのは間違いないと感じます。今は、我々のような企業がそれを実際にどう実装できるのかというフェーズにきていると思っています。

1つはプロダクトとして、もう1つはビジネスとしてしっかり定着していくこと。ここが今の分岐点になっていると思うので、僕も一時のバズワードのようなものに流されずに「しっかりやっていくぞ」と日々活動しています。

川崎:法律など最新情報もしっかりチェックをするようにしています。例えば、我々のような環境配慮を目的としたサービスを導入するインセンティブになるような規制を、あえて設けることがヨーロッパなどで盛んに行われていたりします。

日本でも最近は、経済産業省主導で色々と検討されてるのを拝見しているんですけども、そういったことと連動して事業を進化させていくことが、今後注目ポイントになると思っています。

南:サステナビリティの要素をどのようにしてビジネスに取り入れていくか、非常に重要なポイントだと思いました。サステナビリティは言葉としては一瞬のブームのような捉え方をされることもあるかもしれませんが、本質としてはこの先10年20年と続いていく、不可逆な流れだと思っています。

川野さん、 川崎さんのビジネスが10年後20年後に、『「あの時あの人たちの努力があったから今の世の中があるよね」と振り返られるようになるといいな』なんて思いながら、このセッションを締めさせていただければと思います。

Information

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Editor's Note

編集後記

「環境に良いことはコストがかかる」という印象を持っていたので、少しずつ変化してきていることを知り、技術の進化や企業の努力に感謝の気持ちです。未来もファッションを楽しみたいからこそ、行動に起こしたいし、このような取り組みを応援していきたいなと思いました。

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