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LOCAL LETTER

八ヶ岳の麓で『2拠点』はじめました。地域コミュニティはこわくない!地域住民と移住者で作る、もう一つの新しい暮らし

SEP. 28

YATSUGATAKE AREA

前略、大好きな土地で、自分にできる「なにか」を見つけたいアナタへ

新型コロナウイルスに伴うテレワークの推奨、新生活様式や独自の働き方を提案する企業の動きがどんどん加速しています。そんな新しい働き方やこれまでの生活を変えることは、なかなかすぐに実現できるものではありません。

しかし、移住先として人気が高い八ヶ岳の麓で、都内の大手企業に勤めたまま移り住み、農業や地域活動に積極的に関わりながら理想の二拠点生活を実現させた方がいます。

馬淵 沙織 (Saori Mabuchi)さん / 愛知県生まれ。南山大学総合政策学科を卒業し、上京し、重電機器およびシステム、水処理システム、産業システム機器などを手がける企業へ就職。入社12年、広告宣伝企画の担当として腕を振るっている。
馬淵 沙織 (Saori Mabuchi)さん / 愛知県生まれ。南山大学総合政策学科を卒業し、上京し、重電機器およびシステム、水処理システム、産業システム機器などを手がける企業へ就職。入社12年、広告宣伝企画の担当として腕を振るっている。

ハツラツと田舎暮らしを楽しんでいる馬淵沙織さんの周りには、惜しまずに力を貸してくれるたくさんの地元の人たちがいます。新しい生活、新しい環境…。田舎暮らしを満喫しながら二拠点生活を楽しむ秘訣を伺いました。

先輩移住者が理想の田舎暮らしに導いてくれた

馬淵さんが東京と八ヶ岳の麓で2拠点生活を始めたのは2018年11月のこと。

「大好きな登山で八ヶ岳にはよく来ていたんです。ツーリングで八ヶ岳エコーラインを走ったり、いろいろとなじみのある土地でした。私は元々農業に興味があったので、こっちで農業イベントはないかなと探していたら、たまたま、八ヶ岳の旅サイトで畑作部『森とあおぞら』というイベントを見つけて参加したんです。その経験があったからこそ、本気で富士見町で暮らしたいな、と思い始めました」

畑作部『森とあおぞら』は、2017年から始まった富士見 森のオフィスと富士見町社会協議会との共同企画で、地域のおじいちゃん、おばあちゃんが先生となって、地元はもちろん県外からの参加者に農業や、漬物や地域料理の講座などを1年かけて体験してもらうというイベント。

関連記事:富士見 森のオフィスの詳細はこちら

2017年当時、畑作部『森とあおぞら』の様子。富士見町机区の畑で行われたトラクター講習(森のオフィスwebサイトより)
2017年当時、畑作部『森とあおぞら』の様子。富士見町机区の畑で行われたトラクター講習(森のオフィスwebサイトより)
田んぼづくりの様子(2018年)  
田んぼづくりの様子(2018年)
昨年の草刈りの際に地元のおばあちゃん達によるお昼ご飯
昨年の草刈りの際に地元のおばあちゃん達によるお昼ご飯

「おばあちゃんたちのお料理に胃袋をつかまれちゃったんですよ」と笑う馬淵さん。このイベントが心底、楽しかったことから、翌年は運営側として携わったそう。

なぜそこまで踏み込んだのか、というと、この企画『森とあおぞら』のキーマンで当時の地域おこし協力隊だった久保有美さんの存在があったからだとか。

(左)つくえラボ代表・久保有美さんと馬淵さん
(写真左)つくえラボ代表・久保有美さんと馬淵さん

「久保さんは『森とあおぞら』の時にすぐ仲良くなり、移住やこれから挑戦したいことについて、色々アドバイスをくれました。久保さんも元々は移住者で、出会った時は地域おこし協力隊として、一人暮らしのお年寄りや障害者の皆さんの居場所づくりをされていました。協力隊は任期を終えると起業支援補助金が出るんですが、それを原資に古民家を借りて、久保さんと一緒に、地域活動団体『つくえラボ』を立ち上げました。『つくえラボ』として、これまでの久保さんがやられてきた活動を再スタートさせたんです。移住する上での課題はたくさんありましたが、地域活動に参加することで、地域の皆さんと交流が深まり移住する決意ができたんです」

開墾から始まった現在の畑。米や野菜などがたわわに実っている。
開墾から始まった現在の畑。米や野菜などがたわわに実っている。

『つくえラボ』は代表の久保さん、副代表の馬淵さん、そして会計を担当する土屋さんが立ち上げた地域活動団体。事務所も兼ねている古民家が⼋ヶ岳の麓にある富士見町の机地区にあることから、その名がつきました。

『つくえラボ』では、下水道資源を有効利用した堆肥を使い、「じゅんかん育ち」の野菜と米作りにチャレンジ。畑作りでは、農家歴70年のベテランから直々ご指導をもらうことも。
『つくえラボ』では、下水道資源を有効利用した堆肥を使い、「じゅんかん育ち」の野菜と米作りにチャレンジ。畑作りでは、農家歴70年のベテランから直々ご指導をもらうことも。
『つくえラボ』にてピザ窯作りのワークショップを開催。畑作部で採れたミニトマト、バジル、玉ねぎを使ってピザ作り。見学に来てくれた机区の方達と。
『つくえラボ』にてピザ窯作りのワークショップを開催。畑作部で採れたミニトマト、バジル、玉ねぎを使ってピザ作り。見学に来てくれた机区の方達と。
師匠(机区の大工さん)から教わりながらの板張り作業の様子。
師匠(机区の大工さん)から教わりながらの板張り作業の様子。

会社がテレワークを推奨したことで、⼋ヶ岳での週末暮らしがスタート

そんなふうに⼋ヶ岳の麓にある富士見町と接点ができた馬淵さん、当時はまだ東京に暮らしていて、週末だけ⼋ヶ岳に通ってくるスタイルでしたが、その回数が増え始めたころ、国が働き方改革を打ち出し、勤務していた会社でもテレワーク制度が導入されました。

「もっと⼋ヶ岳で長い時間を過ごせたらいいなぁと思ってはいましたが、会社としてもテレワーク制度は手探り状態。自宅でのテレワークしか許可されていませんでした。でも私の無理なお願いを、理解ある上司が目をつぶってくださって許してくれたんです。金曜日に八ヶ岳でテレワーク、土・日はそのまま過ごし、月曜日に会社に出社するという生活が始まりました」

そんなふうに始まった馬淵さんのテレワーク生活でしたが、コロナ禍で、今はほとんどの社員が同様の状況になったのですから、世の中はわからないものです。

「最初のころは、それこそ週末ごとに久保さんの家に泊めてもらったり、小淵沢や諏訪に泊まったりしながら、作業をする生活を半年くらい続けました。そして、いよいよ家があったほうが便利だなと思い、2019年6月から、今住んでいる家を借りたんです。富士見町で知り合った方の実家が机区にあって、おばあちゃんが一人で住んでいるんだけど、離れの平屋が空いているからどう?って」

リビングダイニングと和室が二間という間取り。水道、光熱費込みで4万円の家賃をお支払いするという約束。この値段は、地元の人が聞いても破格!そんな馬淵さんの富士見町での生活は順風満帆だったのでしょうか?

「やっぱりトラブルもありますよ。たとえば石油ストーブが使い慣れなかったせいで、上部から火が出たことがあって。驚いてストーブを外に出し、水を含んだタオルをかけて無事消火しましたけど、念のため、消防車を呼びました。大家さんには事情を話して何もない現場を見てもらい、区長さんにも連絡を入れたんです。

何か起きた時にきちんと話しておけば区長さんもフォローしてくれるし、大家さんもことあるごとに笑い話にしてくれる。地域の人からすると、わからないこと、隠されることがいちばん不安だと思うんです。地域の方と密な関係を築いていくことって私は好きで、そういう関係だからこそ何かあった時に助け合いができると思います。」

出払いに参加して地区内の掃除をし、避難訓練やどんど焼きなどの地域行事にも参加。最近は諏訪の奇祭・御柱のための集まりや消防団の集まりにも参加させてもらうことも。と言ってもこちらは、飲み会なのだとか。

⼋ヶ岳での生活が充実することで新たな、でも前向きな悩みが生まれてきた

地域とより深く付き合い、生き生きと⼋ヶ岳での暮らしを堪能している馬淵さん。今では、東京の会社に出社するのも月に1、2度のペースに激減しているそう。

「リモートのおかげで仕事の効率がよくなった気がします。よっぽど急ぎでない限り電話もこないので自分の作業に集中できています。企画職なので考える時間は多いです。東京にいる時は考える余裕がなかったけれど、今はぼうっと考えて、そういえば!と思いつくことも増えていますね。いちばんうれしいのは通勤がなくなったこと(笑)」

朝6時に起きて畑仕事、8時半から自宅で仕事をして夕方から家のことをする、あるいはフレックス制度を活用して朝から15時まで仕事をして夕方から畑に行くという日常。そんな生活をするうち、馬淵さんの考え方に変化が起きました。

「実は最近悩みもでてきたんです。今後の働き方をどうするか…。コロナの自粛期間中、2カ月東京に行かない時期があったんですが、収入は減ってもその日その日を食べていければいいんじゃないかなって考えてたりして。リモートがどこでもオッケーになるなら東京に部屋を持つ必要がなくなりますし、副業を認めるという動きも加速化しています。新たな勤務スタイルの方針を出したときに、自分が東京の仕事とどう折り合いをつけていくのか、正直わからないですね。でも、今の私には、ここでの生活をやめるという選択肢はないです。大切な仲間が机区にはたくさんできましたから」

インタビューの後、『つくえラボ』で管理している畑や田んぼを見せていただきました。

ピーマン、トマト、なす、ルバーブ、ズッキーニ、オクラ、食べられるホウヅキ。地元農家さんの指導を仰いでいるとはいえ、どれも立派に実をつけています。

お米、うるち米、もち米も見事に実っていました。
お米、うるち米、もち米も見事に実っていました。

実は馬淵さん、『つくえラボ』の新プロジェクトとして、有休農地を減らし、廃棄物だったものを資源として使うという取り組みをスタートしました。まだ長野県では珍しい動きです。既に、賛同してくれる地元の農家さんも現れています。もちろん『つくえラボ』の畑や田んぼで見た作物も、その肥料のおかげでスクスクと育っているよう。

「これからは、まずは机地区を盛り上げて、机地区から富士見町を盛り上げたいと思っています。そこに県外の人がやって来て、八ヶ岳っていいな、富士見町いいな、机地区いいなと思ってくれたら最高じゃないですか。そうやって地域のみんなが元気になってくれたらうれしいし、私たちも楽しいです

取材後、「トマト持っていって」「肥料使ってみて」「秋の収穫の時にはまた来てくださいね」。次から次へと出てくる馬淵さんの言葉は、すっかり地域のおばちゃんにも似た温かさに満ちていました。

先輩移住者との出会いで一歩を踏み出す、八ヶ岳デュアルライフ体験ツアー開催

馬渕さんが大好きな場所を生活拠点にしたように、あなたも2拠点生活の第一歩である土地探し、場所探しから始めてみませんか?

 10月24日(土)と25日(日)、1泊2日の日程で、馬渕さんはじめ、2拠点生活を満喫する2人の先輩移住者と一緒にデュアルライフを体験する1泊2日の体験ツアーを開催します。

古民家再生や農業に興味のある方は、直接、馬淵さんにお話を聞けるチャンスです。二拠点生活者達は実際、どのようなデュアルライフを送っているの?

どんなメリット? 逆にどんなデメリット? など、根掘り葉掘り、聞いてみてくださいね。

■デュアルライフ体験ツアー

【ツアー開催日】
・10月24日(土)-10月25日(日) 1泊2日

【内容】
10月24日:
10:00-          新宿駅集合(森のオフィス手配バスに搭乗)※詳細は追ってご連絡
13:00-14:00   森のオフィス見学
14:30-15:30 八ヶ岳散策
15:35-16:00 野菜直売所見学、買い物
16:15-16:45 セルフビルドで建てた移住者宅見学
17:00-20:00  懇親会
夕食は蓼科にあるイタリアンレストランのシェフが地元の旬な食材を使った料理を提供してくれます。

宿泊先: 森の中のコテージ・森のオフィスLiving

10月25日:グループに分かれてデュアルライフ体験

A. 新宮圭 :山梨県にある山の岩場でクライミング体験(ビギナーも参加可)
B. 馬淵沙織:地域の人達と協力して作り上げた古民家見学、畑での収穫体験
C. 栗原大介:地域プロジェクトの紹介、ステークホルダーとの交流体験(山小屋まで30分ほど歩きます)

15:00-
B.C馬淵、栗原チームは森のオフィス集合 →バス搭乗
A.新宮チームは双葉サービスエリアにてバス搭乗

新宿駅到着 解散

※上記スケジュールは一部変更になる可能性がございます。予めご了承ください。

【料金】
¥28,000
・新宿⇄森のオフィスまでの往復高速バス交通費
・宿泊代
・現地アテンド
・夕飯(24日)
・昼食(24.25日)
上記は料金内に含まれます。
※24日,25日朝食代は含みません。
※ A.新宮コースに関しましては、別途mont-bell山行保険加入必須(保険種類:SD12 ¥2,000)が必要になります。

【定員】
定員15名(各グループ最大5名まで)
※最小実施人数:2名

【申込み方法】
下記ボタンをクリックして頂きGoogleフォームにてご予約をお願い致します。
※申込み期限:2020年10月13日(火)

【持ち物】
A 新宮圭のコース クライミングシューズ、チョークバッグ、クライミングができる服装
B 馬淵沙織のコース 作業用手袋、汚れてもいい靴
C 栗原大介のコース 軽登山ができる服装、靴

■連載記事はこちら

【第一回】掲載日9/23:新宮圭(Webエンジニア/会社員&経営者)

週半分は東京の会社に出勤し、もう半分は長野でリモートワークを行う傍ら、週末は近くの山で大好きなクライミングに打ち込む新宮さん。 最近は趣味が高じて、クライミングの映像制作チームも立ち上げました。“好き”をとことん追求しながら仕事と趣味を両立する、新宮さんのこれまでの試行錯誤の軌跡と、“夢”に向けた展望を取材しました。

週半分は東京の会社に出勤し、もう半分は長野でリモートワークを行う傍ら、週末は近くの山で大好きなクライミングに打ち込む新宮さん。 最近は趣味が高じて、クライミングの映像制作チームも立ち上げました。“好き”をとことん追求しながら仕事と趣味を両立する、新宮さんのこれまでの試行錯誤の軌跡と、“夢”に向けた展望を取材しました。

<ツアー体験内容>山梨県にある山の岩場でクライミング体験(ビギナーも参加可)  

【第二回】掲載日9/25 :馬淵沙織(広報/会社員)

都心の大手企業に勤めながら、週末に長野で古民家再生や農業に取り組む馬淵さん。移住者ながら地域のコミュニティにどっぷり入り込み、老若男女、様々な人たちと協働してプロジェクトを推進しています。職場の上司、同僚の理解と協力を得ながら、2拠点生活をスタートさせた。馬淵さんの熱い想いと行動力の源泉を取材しました。

都心の大手企業に勤めながら、週末に長野で古民家再生や農業に取り組む馬淵さん。移住者ながら地域のコミュニティにどっぷり入り込み、老若男女、様々な人たちと協働してプロジェクトを推進しています。職場の上司、同僚の理解と協力を得ながら、2拠点生活をスタートさせた。馬淵さんの熱い想いと行動力の源泉を取材しました。

<ツアー体験内容>地域の人達と協力して作り上げた古民家見学、畑での収穫体験

【第三回】掲載日9/28 : 栗原大介(映像・Web制作/自営業)

東京で磨いたスキルや知識を活かし、地域でいくつものプロジェクトに携わる栗原さん。映像やWEBの制作からプロジェクトのディレクションまで、マルチなスキルを活かし、地域で絶大な信頼を得ています。移住者がどうやって地域で仕事を作るのか、また地域で求められるスキルは何なのか、地域プロジェクトの極意を取材しました。

東京で磨いたスキルや知識を活かし、地域でいくつものプロジェクトに携わる栗原さん。映像やWebの制作からプロジェクトのディレクションまで、マルチなスキルを活かし、地域で絶大な信頼を得ています。移住者がどうやって地域で仕事を作るのか、また地域で求められるスキルは何なのか、地域プロジェクトの極意を取材しました。

<ツアー体験内容>地域プロジェクトの紹介、ステークホルダーとの交流体験

Editor's Note

編集後記

人は、心の開き方次第で、どこまでもつながりを広げられる。馬淵さんのお話を伺いながら、そんなことを感じた。それは田舎暮らしだからではなく、仕事でも何でも同じ。こちらが心を開けば、相手も開いてくれる。そのことが次の可能性の扉も開いてくれる。馬淵さんも、馬淵さんが100回(笑)は口にした久保さんもそんな暮らし方を楽しんでいる。二拠点生活、移住を考えている人にも馬淵さんはきっと手を差し伸べる。世話焼き大賛成!

ぜひ八ヶ岳デュアルライフ体験ツアーへお越しください!

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