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LOCAL LETTER

野尻湖畔で実践する。働き方よりも、生き方を優先した理由

SEP. 26

NAGANO

拝啓、自分の働き方と生き方を考えたいアナタへ

ワークライフバランスという言葉があります。

人が生きていく上で欠かせない要素である、ワーク=仕事とライフ=生き方。

あなたのなかで「ワーク」と「ライフ」はどんなバランスでしょうか。

世の中が大きく変わる今、「自分の仕事ってこれで良いのだろうか?」「自分は本当にこの暮らしを選びたかったのだろうか」と、自問自答している人も多いかもしれません。

野尻湖のある長野県信濃町。

今ブームのサウナでも注目の、The Saunaを擁するゲストハウス「 LAMP(ランプ)野尻湖」。年間述べ人数4万人が訪れるこの「LAMP」は、新しいライフスタイルを提案する、まさに灯火のような存在です。

LAMPに料理長として入社、今は独立して株式会社LAMPの代表取締役となられている岡本共平さん。 

彼は自分の生活を「本当に嘘みたいに思うかもしれないですけど、『今日も仕事かぁ』とは思わない。毎日が楽しいんですよね」といいます。

彼がここまでにどんな風景のなかを歩いてきたか。そして彼自身の「ワーク」と「ライフ」について、またLAMPが目指している世界についてお聴きしました。

岡本 共平(Okamoto Kyohei)氏 株式会社LAMP代表取締役社長 / 東京での飲食店勤務、ケータリング事業のあと2015年にLAMPへ料理長として株式会社LIGへ入社。子会社→独立に伴いマネージャーを経て2020年より現職。photo by mocchy
岡本 共平(Okamoto Kyohei)氏 株式会社LAMP代表取締役社長 / 東京での飲食店勤務、ケータリング事業のあと2015年にLAMPへ料理長として株式会社LIGへ入社。子会社→独立に伴いマネージャーを経て2020年より現職。photo by mocchy

LAMP野尻湖への前夜の風景。人生のステージを移すにあたっての直感

「ちょうど『LAMPの料理部門を強化したいっていう話があるんだけれど、興味ある?』 と聞かれて、即答で『行きます』って返事したんです」(岡本さん)

もともとLAMPは、株式会社LIGの代表のご実家をリノベーションしてはじめたゲストハウスで、飲食部分を強化したいというタイミングで岡本さんに声がかかったといいます。

高校卒業後、料理の専門学校に通ったものの、料理の世界のいわゆる縦社会や既成概念のようなものが自分の肌に合わなかったという岡本さん。

photo by mocchy
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料理の専門学校を出たものの、しばらくは職につかず過ごしていたところ、彼女(今の奥様)に「就職してほしい」と言われ、実家の近くのパン屋さんに就職したのがそれから1年後といいます。

「パン屋がやりたかったわけではない」と3年ほどして転職し、デザイン会社などを経た後、料理の業界に戻り30歳すぎまで修行して、ケータリングの仕事で独立。

「企業様や雑誌の撮影向けにケータリングを提供していました。個人宅でのフリー料理でも発注が来ていて。LAMPの運営元の株式会社LIGがケータリング先のお客様だったんですよ。

だからLAMPにくる前夜っていうのは、料理で独立して東京でケータリングの仕事をしていましたね」(岡本さん)

即答でLAMPへの誘いを返事されたのですか?とお聞きすると 

「はい、即答でした。勘ですね。『このままケータリングをやっていてもな』というのと、もう本当に東京である意味はないと思っていましたから。ちょうど、パートナーの実家の広島に帰ろうと思っていたタイミングとも重なりましたしね。『東京を離れるいいきっかけだな』というのがありました」(岡本さん)

うまい料理は人を幸せにする。存分に自分のポテンシャルを発揮するために

LAMPへの転身を即答された岡本さんですが、はじめのうちは訪れるお客様の数もすくなく、「本当に暇だった」といいます。

 「僕がLAMPに来たときは、めっちゃ暇だったんですよ。暇でやることがないから、スタッフと踊ったり遊んだりして。時間があるからその遊んでいる姿をインスタに投稿したりしてね。暇だといって何もせずに立ち止まってるわけにもいかなくて」(岡本さん)

 そう笑いながらも話は続きます。

「僕が中学3年生ぐらいのときに、祖父が病床にあって『余命3ヶ月です』と言われたんですよ。祖父は本当にお酒が好きな人だったんです。入院してもずっと『お酒が飲みたい、お酒が飲みたい』と言っていて、日々元気がなくなっていて」(岡本さん)

余命がわずかと知って、岡本さんのお父様は「もうどうせ死ぬのなら」と、水筒に隠してビールやお酒を病室に持ち込み、お祖父様にのませてあげたのだそうです。結果、お祖父様はそこから3年生きておられたとのこと。

photo by mocchy
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「本当に食べたくて食べたくてしょうがなかったもの、飲みたくてしょうがなかったものを摂取したときに、ストレスから解放されて3年も寿命が伸びた。これって自分にとっても体験として強烈なインパクトがあったんです。

飲食の道を目指したのも、衣食住のなかの仕事というか、人間にとって絶対に必要なものに関わる仕事につきたかったから。『美味しい』『心地よい』と感じてくれる人が増えたなら、何かちょっと世の中が変わるんじゃないかなって」(岡本さん)

お祖父様の原風景に立ち戻ることが、「自身の人生をかけて達成しなきゃいけない使命のようなもの」と語る岡本さんの目の奥はキラリと光ります。

「今、僕たちがLAMPで掲げている「人生を明るく」や、「やさしい世界をつくる」というのは、自分の人生の中でも、もともと思っていたことでもありました。『そういう世界になったらどんなにいいだろうか』という想いがあるんですよね。

「やっぱり人間って一番リラックスしているときが、その人にとってパフォーマンスを最大限に発揮できるはずなんですよ」(岡本さん)

「LAMPのスタッフにはいろいろなスポーツをやってきた従業員が多くいるんです。スポーツの話を聴いていても、人が最高にパフォーマンスを発揮できる瞬間って、結局リラックスした瞬間だなと思う」と岡本さんはいいます。

「『ストレスフル』ってありますよね。なんかもうヘトヘトになっている状態。ぜんぜん休めていない人がつくる料理がうまいわけないと思っていて。

田舎でのんびり暮らして四季の変化に気づいて、美味しい旬の食材でアウトプットする料理の方がきっと圧倒的に美味しいじゃないですか」(岡本さん)

それでも大事な「努力」の意味。自由と責任は比例する

「リラックスして楽しむこと」を語る岡本さんは同時に「努力」が大切だと力を入れて語ります

努力というと先程のリラックスする話の対局のように感じますが、「努力」ですか?

「そう、努力です。生き方を優先して何を選択してもいいけど、積み上げていくみたいな努力は不可欠ですね」(岡本さん)

「僕はパン屋で働いてはいたけど、料理のキャリアは普通26、27歳から。

料理人のキャリアとしては、それって遅いんです。同期では19歳からキャリアを積んでいる子たちがいる。そういうレベル感の人たちから比較すると、26から料理をはじめるってめっちゃ遅いスタートなんですよ」(岡本さん)

ならばと、「厳しい高級料理店で修業する」か、「自分でできるかぎりの努力と勉強をしてみんなに追いつく」かの2択で、岡本さんは後者を選んだといいます。

「たとえばですけど、英語の単語を辞書で3つだし、その3つの単語をネット検索して食材を選び、さらにそれを画像検索し、レシピを検索してつくるということを10年間やりつづけましたね」(岡本さん)

photo by mocchy
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自由と、責任は比例するんですよ。

自分が自由気ままに生きたいと思えば思うほど責任も比例して大きくなる。自由に生きるということは、世俗から離れて仙人みたいに生きることではなくて、自分が自由に振舞って、自由に生き方を優先していきたいということのはず。ということはそれに比例して責任も大きくなるから、結局努力しなきゃいけないんですよ。 

僕、映画が好きなんです。『マトリックス』という映画がありますよね。いわゆる主人公が救世主って言われるんですけど、最初、救世主じゃないんですよ。でもある瞬間から救世主になる。それって自分が救世主なんだって認めて決めた瞬間なんですよね。

だからやっぱり『自分で決める』ということがすごく重要。自分で決めた以上は、さっき言った『自由と責任は比例する』じゃないですけど、『決めたことに対してちゃんと責任を持ってアクションを起こしていく』ということがすごく大切なんです」(岡本さん)

優先すべきは「働き方」よりも「生き方」。余白のある人生のつくり方

LAMPのホームページで求人の文章を読むと、いわゆるビジネスライクで人を集めているというよりも、「人生をともにしてみませんか?一緒に遊びませんか?」という行間のメッセージを感じます。

「おっしゃる通りだと思います。僕は働き方よりも生き方を優先した方がいいと思っていて。自分が『どう生きたいか』が先にあって、そこに働き方があるべきじゃないですか」(岡本さん)

photo by mocchy
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「公務員ってなりたい職業ランキングで1位らしいですよね。でも、公務員に向いてる人ってすごく少ないらしいです。多くの人は公務員が雇用安定した、いや、安定してるからこういう働き方にしようと思ってるんだろうなと。

でもその時の生き方ってどうだろう?毎日自分がどんな顔をしてどんな時間をどこで過ごすのかな、と。そこをちゃんと想像して選んだほうが良いと思っているんです。自分の人生ですから。  

僕の場合はお金どうこうじゃなくて、『田舎でのんびり暮らしながら、仲間たちと一緒にアウトプットして』ということを選んでいます

今だから言えるけど、LAMPに来た当時の僕の給料って信じられない金額というか、本当に安い金額でしたよね。直前のケータリングで稼いでた金額からしたら全然少なかった。

でもお金じゃない。それ以上に『俺は満員電車に乗りたくない』と思っていたんです。これって生き方を先に選んだんですよ」(岡本さん)

ランプのスタッフにも、「働き方より生き方優先した方がいいよ」とよく話しますし、面接でも「働き方より生き方をちゃんと考えた方がいいよ」と話すといいます。

 「コロナのときに、やっぱりうちも2ヶ月ぐらいお店を閉めなきゃいけなかったし、他県ナンバーが来てるなどのクレームが入ったりして『なんか世知辛い世の中だな』と思ってました。

けど、朝起きてみると2000m級の山の景色は何も変わらないじゃないですか。人間がぎゃあぎゃあ言っているけど、自然は何も変わらず待ってくれてる。

『2ヶ月もお店を閉めちゃってどうしよう』と一瞬ネガティブになったけど、ふと湖をみたら『自然は何も変わらずお客さんたちを待ってくれているんだな』と。

それで、すごく気が楽になって。その感覚は本当に他には代えがたいものですよね。この自然の中で生きることを選んだことを幸せに思いました」(岡本さん)

photo by mocchy
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夜寝る前に空を見上げて、『生きててよかったな』と思う人が1人でも増えたら、いじめや自殺や戦争がなくなるって、俺は本当に信じているんですよ」(岡本さん)

 そう話す岡本さんの横顔は穏やかで、でも確信に満ちていました。

自分自身のビジョンを「生き方」として実践をされている岡本さん。ゼロから新しいイチを創り出す創業者の背中には沢山の物語があります。創業秘話からもらえるヒントやエネルギーを、あなたも手にしてみませんか?

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Editor's Note

編集後記

LAMPの目の前に広がる野尻湖の湖面。
取材後、水着で野尻湖に浮かんできました。身体の力を抜いて湖面に浮かぶと、青い空、白い雲。
本当はLAMPのThe Saunaを体験して、そのあと野尻湖に入る予定だったのですが、今回残念ながら予約が一杯で、The Saunaは体験できませんでした。だからせめて野尻湖だけでも、と。
野尻湖にゆったりと浮かんで空を見ていると、マメさんがお話されていた「働き方よりも、生き方を優先する」という言葉が理屈なく身体に染み込んでくるようでした。
想いが込められた場に行くこと、自分と違うライフスタイルの人と出会うこと。それは自分の価値観を新しくバージョンアップさせてもらえるチャンス。LAMPはそんなチャンスに出会える場であることは間違いないようです。

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