前略、100年先のふるさとを思ふメディアです。

LOCAL LETTER

100以上の肩書きを持つペライチ会長 山下翔一氏がWHERE代表 平林と語る「仕事の流儀」とは?

AUG. 17

JAPAN

前略、情熱と持って何かを成し遂げたいと思っているが、日々「忙殺」されてしまっているアナタへ

アナタは今、情熱を持って目の前のことに取り組めているだろうか?

例えば、新しい環境に身を置いた頃は、「ああした方がいい」「こうしたほうがいい」と情熱を持って取り組んでいたことも、気づくと目の前の生活や仕事に追われてしまい当初の思いが消えかけてしまう。そんな経験は多かれ少なかれ、誰しもがあると思う。

そんなアナタに、今回お届けするのは、LOCAL LETTERが毎月行うイベント「LOCAL LETTER LIVE*1 」の一部始終。

今回のゲストは、株式会社ペライチ創業者であり、取締役会長を務める山下翔一氏。佐賀県の田舎町出身の山下氏は、自身の経験から日本全国で平均年齢50歳以上の利用者から愛されるホームページ作成ツール「ペライチ」を生み出しただけでなく、地域を盛り上げるため100以上のプロジェクトで活動するツワモノ。

この山下氏を象徴するのが自分自身はもちろん、多くの周りを動かす「情熱」であり、数々のプロジェクトを実現させていく「実現力」。複数のプロジェクトを行う山下氏と弊社代表平林が「情熱と実現力」をテーマに語った「仕事の流儀」を3つのポイントに分けてお届けします。

【編集部から嬉しいお知らせ】
山下翔一氏が地域経済を共に動かす、起業家のためのサミット「SUMMIT by WHERE」に登壇決定しました!

業界のトップランナーの方々を総勢40名以上お招きし、共通のテーマに沿って本気で議論を行うSUMMIT by WHERE の詳細はこちらよりご確認いただけます。

1.「自分にとっての地域創生」の定義を考え、軸を持つ

平林:私は以前、山下さんに初めてお会いした時に「平林くんにとっての地域創生って何?」とストレートに聞かれました。

私が代表を務める「株式会社WHERE」は、日本全国でお仕事をさせてもらっているのですが、実はWHEREは「地域」という軸からは入っていないんです。WHEREのビジョンは「誰もが心の豊かさを持つ世界を」で、「一人一人の心が豊かになる社会を作りたい」と思っているので、山下さんの質問に「人です」と答えたら、山下さんにがっしりと肩を掴まれて「そうだよね」と共感してもらったのを鮮明に覚えています。

平林 和樹 (Kazuki Hirabayashi) 株式会社WHERE(LOCAL LETTER)代表取締役 / 新卒でヤフー株式会社に入社後、アドテクノロジーエンジニアとして全社MVP、特許を獲得したのち、退職。海外での生活、20社以上の中小企業のITコンサルティング、株式会社CRAZYでの活動を経て、株式会社WHEREを2015年10月に創業。コネクション0から3年で30以上の自治体との取引実績を獲得。自社運営する地域コミュニティメディアLOCAL LETTERでは約400記事を配信しており、全国各地の自治体と取引があるほか、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも選出。
平林 和樹 (Kazuki Hirabayashi) 株式会社WHERE(LOCAL LETTER)代表取締役 / 新卒でヤフー株式会社に入社後、アドテクノロジーエンジニアとして全社MVP、特許を獲得したのち、退職。海外での生活、20社以上の中小企業のITコンサルティング、株式会社CRAZYでの活動を経て、株式会社WHEREを2015年10月に創業。コネクション0から3年で30以上の自治体との取引実績を獲得。自社運営する地域コミュニティメディアLOCAL LETTERでは約400記事を配信しており、全国各地の自治体と取引があるほか、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも選出。

平林:あの時、「アナタにとっての地域創生って何?」という質問は、ぶれずに行動する時や、人を巻き込んでいく時に大切な軸になると感じました。

山下氏(以下、敬称略):私自身「なんのためにやるか」が一番大切だと思っています。地域創生の定義は、人それぞれだからこそ、この定義が一致しないと、一緒に物事を動かすのは難しくなってくる。例えば、究極的な話ですが、経済合理性だけで言えば、地方よりも都市部に集約していくことを目指すのもアリかもしれません。

だからこそ「なぜ(あえて)地域創生なのか?」という問いは大切になるだと思っています。

山下 翔一(Shoichi Yamashita)氏 株式会社ペライチ創業者 取締役会長 / 1億総ネット利活用時代を目指す「株式会社ペライチ」の創業をはじめ、自治体の顧問やアドバイザー、2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合の代表サポーター(企業代表)や、全国100万ヶ所2000万人を目指す『応援村(経産省連携)』 実行委員 兼 広報部長、環境省主導の国家プロジェクト『地域循環共生圏プロジェクト』メンバーなど、合計で100以上の企業・団体・プロジェクトの代表・役員・社外取締役・顧問を務めている。
山下 翔一(Shoichi Yamashita)氏 株式会社ペライチ創業者 取締役会長 / 1億総ネット利活用時代を目指す「株式会社ペライチ」の創業をはじめ、自治体の顧問やアドバイザー、2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合の代表サポーター(企業代表)や、全国100万ヶ所2000万人を目指す『応援村(経産省連携)』 実行委員 兼 広報部長、環境省主導の国家プロジェクト『地域循環共生圏プロジェクト』メンバーなど、合計で100以上の企業・団体・プロジェクトの代表・役員・社外取締役・顧問を務めている。

平林:その中で山下さんが行なっているペライチというサービスは、地方創生という観点から、どんなピースだったのでしょうか。

山下:ペライチには、今40名ほどのスタッフがいるのですが、その中で私が一番、ペライチのプロダクトやサービスに興味がないんです(笑)。これは、社内でもよく話していて、私が興味を持っているのは、ペライチの可能性です

ペライチを立ち上げた経緯を少しお話しすると、日本経済が衰えていく中で、信用経済で成り立っていた地域に、外部からマーケティングのわかる企業が進出してきて、仕事やお金が流出してしまう状況があります。「このITツールをつかったら売上があがるよ」というのは本質的な課題解決にはなっていなくて(ツールが無くなればまた振り出しに戻る)、ITだったりマーケティングだったり、そもそもの経営などのリテラシーが低いことこそが本質的な課題であり、その教育こそが重要なミッションだと感じています。

おじいちゃんおばあちゃんや主婦、地方の人といったITリテラシーの低い人たちこそ、ITだったりマーケティングを活用できると日本の底力を引き上げるんだという想いから、「だれでもあっという間にホームページが作れます」というキャッチコピーの元、ペライチというサービスをつくりました。

私はペライチを通じて「ITって楽しい」「もっと活用できる」と知ってもらった上で、本人たちが自立できるようにサポートしていきたいんです。

2. オンラインのコミュニケーションを大切に、情熱を伝える

平林:できる人に丸投げするというのではなく、自立できるようにサポートしていくという部分にとても共感します。具体的にペライチではどんな方法で自立をサポートしているのでしょうか?

山下:ペライチには「ペライチサポーター」と呼んでいる同志が日本全国に400人ほどいます。この人たちは、スーツをビシッと着たITやマーケティングの専門家集団ではなく「地域の事業やIT化で困った人たちや、やりたいことがあるけどどうしていいかわからない人に寄り添える存在」。ITやマーケティングの知識も大切だが、もっと大切なのは「その人に寄り添うことができ、信頼関係を構築できる」ということ。地方においては特にですね。

いま、ペライチの利用者は全国にいて、利用者の平均年齢は50歳以上ですが、この利用者を支えているのは、このペライチサポーターにほかなりません。

平林:ペライチサポーターはどうやって集めたんですか?

山下:最初の50人くらいまでは、地域のキーマンを知人から紹介してもらい、一人一人に直接お会いし、思いを伝えて、握手をして(仲間になって)いきましたそこから徐々にペライチサポーターの輪が広がっていき、有難いことに、今のペライチサポーターの7〜8割くらいは、私も直接知らないほど急増しています。

平林:サポーターの広がりが凄いですね。ハード面だけでなく、ソフト面まで整えていくのは本当に素敵だと思います。

山下:ペライチサポーターの皆さんとは、コンセプトの共感ができていると感じています。私は、「ペライチサポーターは、ペライチのサポーターではありません」と断言していて、ペライチサポーターの皆さんには「ペライチサポーターはあくまでも困っている人のサポーターなので、ペライチを売り込まないでください」とお願いをしています

そう伝えることで、ペライチサポーターは自分の周りにいる、困っている人にフォーカスすることができますし、私たちも困っている人にフォーカスをします。私たちとペライチサポーターは、同じ方向を向いている同志です。ペライチサポーターのことを「ペライチを広げていく代理店」と思われる方もいらっしゃいますが、全く違います。

平林:何をするかという「手段」ではなくて、なぜやっているかという「目的」に共感して人が集まっていんですね。僕らも、自治体の方からご相談をいただいても、お話を聞いてこれは僕らよりも適切な企業があれば、その企業を紹介するようにして、必ず相手の目的を明確にして、寄り添うようにしています。

山下:昨年まで、ペライチに対してくる質問の8割はペライチサポーターが返答していましたし、新しい機能ができると、ペライチ社員よりも早くペライチサポーターがマニュアルを作ってシェアをしてくれていて、エコシステムが出来上がっています。これも「目的」に共感してくれているからこそですね。

3. プロジェクトに関わる全ての人が「能動的にやりたくなる状態」を生み出す

 

 

平林:山下さんのお話を聞いていると、周囲をうまく巻き込んでいると感じます。一方で、プロジェクトが壮大になるほど、現場が追いつかないケースもあると思うのですが、現場とのすれ違いはどのように解消されているのでしょうか?

山下:現場が追いつかないケースは私もよく耳にします。理由としては様々あると思いますが「リーダーだけのやりたい」を周りに押し付けているパターンだったり、リーダーのビジョンや価値観を共有できていなかったり、現場を信頼できずに介入することによるものだったり、上手く仕組み化できていないことだったりがあるかなと思います。

特にプロジェクトの起ち上げから拡大フェーズで大切にしているのは「プロジェクトに関わる人たちが“自分から能動的にやりたくて仕方ない”と思える状態にもっていけるかどうか」です。

平林:自分事として捉える人を増やしていく仕組みづくりが重要ということですね。僕たちもプロジェクトをやるときは、プロデューサーが誰よりもそのプロジェクトを楽しみ、ワクワクする未来を思い描くことを大切にしています。それは、プロデューサーが想像している以上の景色を他のメンバーが見ることはできないと考えているからです。

山下さんはどのような仕組みづくりをしているのでしょうか?

山下:私はワクワクの火が消えないように、常に楽しい状態をキープすることが重要だと思っています。だからこそ、ペライチでは好きなこと・得意なこと・嫌いなこと・苦手なことをメンバー、一人ひとりが明確にして、かつ、それをメンバー同士にオープンに伝えることを大切にしています。

嫌いかつ苦手なことって、全然楽しくないじゃないですか。だから、自分が楽しくないことは、それを楽しいと思う人に任せるんです。「得意だけど嫌いな(ワクワクしない)こと」は特に要注意で、得意だからやれてしまうけど、だんだんとテンションが下がってしまうので、やっぱりこれも得意かつ好きな人に徐々にでも移行していく必要があります。

一人一人の才能は全く違うからこそ、「こうあるべき」をとっぱらって相手の特性を否定せずに、興味関心を持って、そのポテンシャルをどうしたら活かせるのかを考えることが大切です。
山下 翔一 株式会社ペライチ創業者 取締役会長

平林:一人ひとりが個性を受け止め、理解し、個性が活きる環境づくりが大切ということですね。

*1 LOCAL LETTER LIVE
地域と伴奏しながら、現在活躍しているゲストをお招きし、参加者とノウハウや人脈のシェアを行うことで、地域とともに生きる人を増やすことを目的にLOCAL LETTERが毎月開催しているオフラインイベント

【編集部から嬉しいお知らせ】
山下翔一氏が地域経済を共に動かす、起業家のためのサミット「SUMMIT by WHERE」に登壇決定しました!

業界のトップランナーの方々を総勢40名以上お招きし、共通のテーマに沿って本気で議論を行うSUMMIT by WHERE の詳細はこちらよりご確認いただけます。

Editor's Note

編集後記

今回、トークライブの中で出てきた話は、山下氏が行っている事業の一部に過ぎない。だが、一つ一つの話に深みがあり情熱が溢れていた。

この山下氏の地域への熱い思い、目の前の人を助ける強い情熱というのは、別記事でも紹介されているように、山下氏の情熱の根本が「世界平和」であるというところに紐づいていると思う。

目の前の仕事をただこなすのではなく、目の前の人を救い世界を平和にするには、ということを考えている山下氏だからこそ、様々なプロジェクトを多角的にこなすことができているのだと思う。

「自分にとっての地域創生とは何か?」「自分にとっての仕事とは?」常に考え続けることが、一番大切なのではないだろうか。

LOCAL LETTER Selection

LOCAL LETTER Selection

ローカルレターがセレクトした記事