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地域の賛否両論を超える。静岡県の世界遺産・三保松原に惚れ込み、人を呼び続ける住吉昂太氏のノウハウ

SEP. 26

SHIZUOKA

前略、いつの間にか「やりたい」より「期待に答える」責任を背負ってしまうアナタへ

「期待される」って嬉しい反面、意識すればするほど、プレッシャーを感じてベストを尽くせなくなってしまうことってありませんか?

特に、相手の信頼が大きくなればなるほど、期待値も上がり、プレッシャーを強く感じるようになりますよね。(プレッシャーに弱い私はすぐにお腹を崩します・・・)

一方、世の中にはプレッシャーを感じながらも、常に成果を残し続けている人たちが存在するのも事実。今回取材した住吉昂太氏も成果を残し続けているうちの一人。

学生時代から東京と地元である静岡を行き来しながら、様々なプロジェクトを立ち上げ、新卒からは二足のわらじを履いて、地域で活動しています。

今回はそんな住吉氏への取材を通じてみえてきた「地域からの期待との向き合い方」を3つにまとめました。

住吉昂太(kouta sumiyoshi)氏 静岡鉄道株式会社、(株)Otonoの取締役 / 在学中、地元静岡で『「空から眺める世界遺産 三保松原」地元の魅力を伝えたい!』プロジェクトの共同代表として、クラウドファンディングを活用した三保松原・太平洋・富士山を空から眺める気球ツアーを開催。その後、『世界遺産三保松原 地域活性化プランコンテスト』を立ち上げ、大学生を対象にした合宿型コンテストを行う。卒業後、静岡の鉄道会社に就職。商業不動産の運営・プロモーションを通じてエリア価値の向上・まちづくり、人事採用に従事後、2019年度より東京のまちづくり・鉄道会社へ出向中。さらに本業の傍らで、観光地のドラマ型音声ガイドの製作や、観光客向けのミュージアムショップを運営する(株)Otonoの取締役も兼任。その他様々な地域活性化イベントに携わる。
住吉昂太(Kouta Sumiyoshi)氏 静岡鉄道株式会社、(株)Otonoの取締役 / 在学中、地元静岡で『「空から眺める世界遺産 三保松原」地元の魅力を伝えたい!』プロジェクトの共同代表として、クラウドファンディングを活用した三保松原・太平洋・富士山を空から眺める気球ツアーを開催。その後、『世界遺産三保松原 地域活性化プランコンテスト』を立ち上げ、大学生を対象にした合宿型コンテストを行う。卒業後、静岡の鉄道会社に就職。商業不動産の運営・プロモーションを通じてエリア価値の向上・まちづくり、人事採用に従事後、2019年度より東京のまちづくり・鉄道会社へ出向中。さらに本業の傍らで、観光地のドラマ型音声ガイドの製作や、観光客向けのミュージアムショップを運営する(株)Otonoの取締役も兼任。その他様々な地域活性化イベントに携わる。

1. 応援してくれる人もいれば、批判してくる人もいる

東京の大学に進学した住吉氏が、静岡県に関わるきっかけとなったのは静岡県静岡市清水区にある「三保松原」が世界遺に登録されたことだった。

「幼少期の頃から大好きだった “三保松原” が世界遺産に登録された時は、本当に嬉しかったです。ですが、それからすぐ “がっかりスポット”という声を聞くようにもなってしまったんです」(住吉氏)

2013年に世界遺産へ登録された「三保松原」
2013年に世界遺産へ登録された「三保松原」

「富士山・松・海」が一望できることで有名になった「三保松原」ですが、この絶景スポットに訪れるには、少し歩かなくてはならず、このスポットにたどり着かないまま帰ってしまわれる方が多かった。さらに、観光客がピークを迎える夏場には富士山の雪が溶けてしまっていることから、せっかくたどり着いても、想像していた絶景が見れず “がっかりスポット” という声も聞こえるようになってしまったのだ。

「自分の好きなものがガッカリされたら悲しいじゃないですか。僕の場合は、好きだと思うものが “地域” だったんです。だからこそ、地域の魅力がどうやったら伝わるのかを考え、初めて静岡県でイベントを企画したんです」(住吉氏)

住吉氏がはじめて行なったのは、『空から眺める世界遺産 三保松原」地元の魅力を伝えたい!』プロジェクト。大好きな「三保松原」を最も綺麗に楽しめる冬の時期に、気球に乗って空の上から富士山・松・海を一望しようという企画だった。

「資金は全くなかったので、 “クラウドファンディング” を使って、資金調達を試みました。驚いたのは、自分たちは “地元のために” と活動をしているつもりでしたが、一部の地域の人からはでは “学生が地元で詐欺か?” なんて囁かれていたことですね」(住吉氏)

今や当たり前になったクラウドファンディングも、当時の静岡県では、まだまだクラウドファンディングが認知されていなかったこともあり、「インターネットで学生が不特定多数の人からお金を集めている」ということから、怪しまれていたと言います。

「一方で、すごく応援してくださる方もたくさんいました。特に、当時は一度もお会いしたことのなかった地元のデザイナーさんが5万円も寄付してくださったのは、精神的にも支えられました。この経験があったからこそ、どんなことにも賛否があると僕は思っています。自分自身が絶対に良いことだと思ってやっていても、悪く言ってくる人はいるし、その一方で応援してくれる人もいる。だからこそ、自分がどうしたいのかが大切なんですよね」(住吉氏)

その後、気球プロジェクトは大成功を納め、当時の参加者には今でも静岡県に幾度となく足を運んでくれる人もいるという。

2. 正しさより「楽しさ」を優先させる

気球プロジェクトを皮切りに、地域活性化プランコンテストなど、数多くのイベントを行なっている住吉氏ですが、プロジェクトの発端は、いつだって住吉氏の「これあったら楽しそう!」という気持ち。

「常に “正しさよりも楽しさ” を大切にしています。ロジックなんて後からつけても良いんです。最初から難しく入ったら、面白くないじゃないですか。楽しくないことはやらないがモットーです」(住吉氏)

昔から自分の好きなものを周りに共有し、広めていくことが大好きだったという住吉氏。気づいたら、情報の発信源になっていることが多いんだそう。

「僕にとっての好きなものが “地域(三保松原)” だったというだけなんです。自分の好きなものを昔も今も変わらず、周りに共有していたら、今では静岡ツアーを個人的に開催してます。毎年、20人くらいは僕の実家に泊まっていますしね(笑)」(住吉氏)

さらに、自分の好きなものを共有するのと同じくらい住吉氏が好きなのが、「誰かと誰かをマッチングすること」だという。

「地域の最大の魅力は、大きいコミュニティだからこそ、性別、年齢、職業、、全て関係なく、みんなで地域を育んでいくことができることだと思っています。地域は誰も仲間はずれにしないコミュニティ。地域の中の人と外の人が、意外なきっかけから繋がっていく瞬間がすごく好きで、静岡県の中の人と外の人を繋げるのが僕の役割だとも思っています」(住吉氏)

住吉氏をきっかけに中と外の人が出会い、なんと「結婚」にまで至った人たちや、飲み仲間として繋がっている人たちの存在が本当に嬉しいと笑う住吉氏。

「地域活性化プランコンテスト」をきっかけに結婚したご夫婦。結婚式は「三保松原」で行われた。
「地域活性化プランコンテスト」をきっかけに結婚したご夫婦。結婚式は「三保松原」で行われた。

「静岡県にいる中の人と外の人を繋げることが、僕が1番価値発揮できることなんです。自分がどれだけ楽しくても、自分自身が価値発揮できていないと感じると辛くなってしまう。でも誰も仲間はずれにしない地域は、誰もが価値発揮できる場所でもあると思うんです」(住吉氏)

3. 自分の「ビジョン」を見失わない

「僕のビジョンは、“3つのしみん” を増やすことです」(住吉氏)

住吉氏のいう “3つのしみん” とは、citizenの意味の市民ではなく、
① 挑戦やトライする人という意味の「試民」
② 挑戦やトライする人を支えたり応援する人という意味の「支民」
③ 地域と離れていても、地域を想い、地域に想われている人という意味の「思民」

「気球プロジェクトを行った時、自分自身は何者なんだろうかと考えたことがありました。大学進学とともに東京に出てしまっていたので、もう “市民” ではなかったんです。その時、僕はもう “市民” ではないけれど、静岡県で挑戦する “試民” で、クラウドファンディングで支援をしてくれた人は、そんな僕を応援してくれる “支民” 、そして気球プロジェクトに参加してくれた県外の人たちは “思民” だと思いました」(住吉氏)

この “3つのしみん” を増やしていくことが、人口減少時代のいま、地域にとって重要になってくると住吉氏は語ります。

「人口が減っている中で、移住施策を頑張っている地域が多いですよね。もちろん、それもいいとは思いますが、日本全体の人口が減っている中での地域間の人の奪い合いは、みんなが疲弊してしまうかもしれない。だからこそ、地域に関わっている人たち(“3つのしみん”)の力を高めていくことが、地域の力を維持する上で重要だと僕は思っています」(住吉氏)

住吉氏が思い出の品として持ってきてくれたのは、こちらの一枚の写真。住吉氏が全国の大学生を静岡に集めて「地域活性化プランコンテスト」を行ったときの最後の集合写真。ここには、参加者である県外の大学生はもちろん、県内の大学生、コンテストを見にきてくれた地域の皆さん、イベントに協賛をしてくれた地元企業の方々、メンターとしてコンテストに関わってくれた都内大手企業の社員の方々、審査員が写っているそう。「コンテストをきっかけに “3つのしみん” が写っているこの写真が好きなんです」(住吉氏)
住吉氏が思い出の品として持ってきてくれたのは、こちらの一枚の写真。住吉氏が全国の大学生を静岡に集めて「地域活性化プランコンテスト」を行ったときの最後の集合写真。ここには、参加者である県外の大学生はもちろん、県内の大学生、コンテストを見にきてくれた地域の皆さん、イベントに協賛をしてくれた地元企業の方々、メンターとしてコンテストに関わってくれた都内大手企業の社員の方々、審査員が写っているそう。「コンテストをきっかけに “3つのしみん” が写っているこの写真が好きなんです」(住吉氏)

どれもが欠けてはいけない重要な要素である “3つのしみん” が増えることで、人口が減っても地域の維持に寄与と考えている住吉氏は、ビジョン達成に向けて次なる挑戦を行うため、2019年4月から職場を「東京」に移した。

「今年から東京のまちづくり・鉄道会社へと出向をしています。中長期的な目線で、今後より静岡県に提供できる価値を高めるためには、一度静岡県を離れ、外から静岡を見たり、新しい環境で挑戦を行ったりする方がいいと思いました。今は、静岡と東京を行き来するからこそできる価値を発揮したいと思っています」(住吉氏)

平日は東京で働きながら、休日には静岡に戻って、地域活動や静岡で立ち上げた、観光地のドラマ型音声ガイドの制作や、静岡のクリエイターのプロダクト等を発信・販売するミュージアムショップ “みほしるべ ” を運営している「株式会社Otono」の取締役として活動をしている住吉氏。これからは2年前に立ち上げた、若者向けの県人会「シズオカなかまつり」により力をいれていきたいと話す。

「東京にいるからこそ今後は、東京で静岡の県人会ネットワークを広げていきたいと思っています。 “首都圏で静岡といえば住吉” というポジションを担っていきたい。これからより関係人口の流れが加速していくからこそ、地域の中と外を繋ぐコーディネーターとしてより価値発揮をし、 “3つのしみん” を増やしていきます」(住吉氏)

文科省の外局組織であるスポーツ庁主催の企画コンペ「もしもあなたがスポーツ庁長官だったら」にて、一般部門 全国328案の中から住吉氏の企画が2位にあたる優秀賞に選出された際のお写真。1位である最優秀賞には「好きなオリンピック選手を招いてイベント等が開ける権利」が副賞になっていたため、静岡県にスポーツ選手を呼び込めないかと参加されたそう。
文科省の外局組織であるスポーツ庁主催の企画コンペ「もしもあなたがスポーツ庁長官だったら」にて、一般部門 全国328案の中から住吉氏の企画が2位にあたる優秀賞に選出された際のお写真。1位である最優秀賞には「好きなオリンピック選手を招いてイベント等が開ける権利」が副賞になっていたため、静岡県にスポーツ選手を呼び込めないかと参加されていた。

常に自分の「楽しそう」や「やりたい」というポジティブな感情を大切にしながら、主体的に行動を続けている住吉氏。

自分の「やりたい」を大事にし、時には “支民” に助けてもらいながらも、ビジョンを見失わずにまっしぐらに挑戦を続ける。そんな住吉氏の姿勢こそが、周りが住吉氏に「期待」する理由であり、期待を一心に受けながらもさらなる挑戦を続けられる秘訣なのかもしれません。

Editor's Note

編集後記

取材時には、住吉さんの会社で運営しているミュージアムショップ「みほしるべ」で売られているという、三保松原をアイシングした「三保松原クッキー」をお土産にいただき、そのクオリティの高さにびっくり。クッキーの味はもちろん、その見た目や、クッキーが入っている包みにまでこだわって作られたのがわかります。

「このクッキー屋さんは、自宅にお店を構えられてて、地域にすごく愛されているお店なんです。他にも、松葉を使った飴があったり、、」と、とにかく楽しそうに静岡県のお話をしてくださった住吉さん。

まさに「好きだと思うものが “地域” だった」という住吉さんの言葉が、言葉以外の部分でもたくさん伝わってくる取材でした。

これからも静岡県の応援をよろしくお願いいたします!

これからも静岡県の応援をよろしくお願いいたします!

これからも静岡県の応援をよろしくお願いいたします!

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